各都市部には、都市計(jì)畫法に基づき市街化區(qū)域が定められています。市街化區(qū)域とは、「すでに市街地を形成している?yún)^(qū)域及びおおむね10年以內(nèi)に優(yōu)先的かつ計(jì)畫的に市街化を図るべき區(qū)域」とされており、市街地におけるより良好な都市環(huán)境の形成を目的に、建築可能な建物が制限されていたり、地域の土地利用內(nèi)容が規(guī)制されたりしています。その市街地區(qū)域における農(nóng)業(yè)の維持や緑地環(huán)境の保全のために指定された農(nóng)地が、いわゆる「生産緑地」で、市街化區(qū)域外の郊外にある農(nóng)地（一般農(nóng)地）と區(qū)別されます。

大都市圏における生産緑地の変遷

1970年代までの高度成長期には、三大都市圏（首都圏、中部圏、近畿圏）の政令市等では、都市部の人口の増加と住宅不足を解消する目的で、市街化區(qū)域にある農(nóng)地に対して、一般農(nóng)地で優(yōu)遇されている固定資産稅や相続稅を適用せず、宅地並みの稅を適用しました。これにより、都市部農(nóng)地の宅地化は進(jìn)みましたが、一方で緑地の急激な減少を生み、住環(huán)境の悪化、土地の地盤保持?保水機(jī)能の低下による災(zāi)害の多発など社會問題化しました。これを受けて、1974年に制定されたのが「生産緑地法」です。
「生産緑地法」によって、三大都市圏において生産緑地の指定を受けると、一般農(nóng)地並みの固定資産稅が適用され、多くの市街地農(nóng)地が指定を受けることとなりました。
しかし、1990年前後のバブル経済期に地価が暴騰したことにより再び都市部農(nóng)地の宅地化が急増したことから、1992年に「生産緑地法」が改正され、市街地農(nóng)地は「宅地化する農(nóng)地（宅地化農(nóng)地）」と「保全する農(nóng)地（生産緑地）」に分けられました。これにより、宅地化を前提とした宅地化農(nóng)地には、宅地並みの固定資産稅が課せられることになりましたが、生産緑地は、農(nóng)地並みの固定資産稅と相続稅の納稅猶予が適用されることになり、生産緑地が急増しました。なお、主な生産緑地の指定解除要件は、（1）農(nóng)林漁業(yè)の主たる従事者が死亡等の理由により従事することができなくなった場合、（2）生産緑地として告示された日から30年が経過した場合とされています。國土交通省の資料によれば、2018年の全國における一般農(nóng)地442萬haに対して、市街化區(qū)域內(nèi)農(nóng)地は6.9萬ha、そのうち三大都市圏における生産緑地は1.1萬haで、三大都市圏市街化區(qū)域農(nóng)地の約半數(shù)を占めています。

生産緑地制度に係る2022年問題

全國の生産緑地は、そのほとんどが1992年の法改正時に指定されたもので、現(xiàn)存する生産緑地の約80％を占めているといわれています。制度上は、指定から30年を経過すると指定が解除され稅制優(yōu)遇や納稅猶予が適用されなくなりますが、それが1992年から30年後の2022年に當(dāng)たります。指定が一斉に解除されると、所有者にとっては稅負(fù)擔(dān)が大幅に重くなり、営農(nóng)を斷念することで土地の売卻動機(jī)が高まり、都市部の緑地が激減するのではないか、宅地として売卻された場合は受給バランスが崩れるのではないか、人口減少傾向にある中、供給過多となった土地や住宅が空き地や空き家となり、社會問題化するのではないかといったことが、懸念されています。
これに対応して、2017年に生産緑地法の一部改正が行われ、生産緑地の指定を10年間繰り返し延期することが可能となりました。とはいえ、都市部の営農(nóng)者も高齢化が進(jìn)んでおり、また擔(dān)い手不足である狀況もあり、この制度改正でどの程度の効果があるかは未知數(shù)でしょう。いずれにしろ、民民間の土地売買は需要と供給のバランスで進(jìn)められますので、資産価値、利用価値の高い生産緑地が積極的な民間投資の対象となることは、避けられないと思います。

官民連攜による都市部の緑地保全への期待

生産緑地法そもそもの目的は、「農(nóng)林漁業(yè)との調(diào)整を図りつつ、良好な都市環(huán)境の形成に資すること」であり、実際に、都市部における身近な農(nóng)業(yè)體験の場や災(zāi)害時の防災(zāi)空間など多様な機(jī)能を発揮するグリーンインフラとして、都市における重要な公共的な役割を擔(dān)っています。條文においても、指定解除後には「所有者は、市町村長に対し、（中略）當(dāng)該生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができる」としており、その高い公共性を認(rèn)識し公共による利活用を想定しているように思われます（実際には、自治體の財(cái)政もあり、買い取り事例はごくわずかであるようです）。

國においても、2015年4月には、都市農(nóng)業(yè)の安定的な継続を図るとともに、多様な機(jī)能の適切かつ十分な発揮を通じて良好な都市環(huán)境の形成に資することを目的として「都市農(nóng)業(yè)振興基本法」が制定され、さらに、2016年5月には、都市農(nóng)業(yè)振興基本法に基づき、都市農(nóng)業(yè)の振興に関する施策についての基本的な方針、都市農(nóng)業(yè)の振興に関し政府が総合的かつ計(jì)畫的に講ずべき施策等について定める「都市農(nóng)業(yè)振興基本計(jì)畫」が閣議決定されるなど、生産緑地の効果的な活用を図るために、さまざまな施策が図られています。

地球規(guī)模の環(huán)境問題に対する関心が高まる中、二酸化炭素の吸収、ヒートアイランド現(xiàn)象の緩和、生物多様性の保全など緑地の有する環(huán)境保全機(jī)能が従來以上に注目されており、生産緑地の公共的な存続意義は、決して薄れてはいません。
また、農(nóng)業(yè)経営にしても、他の営農(nóng)者への譲渡や農(nóng)地の集約、法人経営化、農(nóng)作物等加工施設(shè)、農(nóng)作物等直売所、農(nóng)家レストランの設(shè)置が可能となるなど、規(guī)制が緩和されてきており、多様な事業(yè)化の幅という點(diǎn)においても広がりを見せています。