コラム No.53-12PREコラム
戦略的な地域活性化の取り組み（12）海外における「スマート農(nóng)業(yè)」の先進(jìn)事例 ～オランダ～
公開日：2019/04/26
今回は、海外における「スマート農(nóng)業(yè)」の先進(jìn)事例のうち、近年注目を集めているオランダの取組について、ご紹介します。
農(nóng)業(yè)國オランダの経済、地勢(shì)
國際連合食糧農(nóng)業(yè)機(jī)関（FAO）等によれば、2013年現(xiàn)在、オランダの國土面積は415萬haと九州とほぼ同等の広さで、人口は約1680萬人とされています。また、農(nóng)地面積は184萬haと國土の44％を占めており、日本の農(nóng)地面積が454萬haで國土の12％であることを考えると、オランダにおいて農(nóng)業(yè)が主要な産業(yè)であることが分かります。
一方、GDPの構(gòu)成比でみると、オランダの農(nóng)林水産業(yè)は2％強(qiáng)（日本は1％程度）であり、第二次産業(yè)（19％）や第三次産業(yè)（79％）が國民総生産の大部分を占める點(diǎn)では、他の先進(jìn)國と同様に工業(yè)化が進(jìn)んでいます。特にオランダは、加工貿(mào)易による輸出の割合が高く、人口が多くない割には、ユニリーバ（食料品、家庭用品）やハイネケン（ビール）、フィリップス（総合電機(jī)）、ASML（半導(dǎo)體製造裝置）、ロイヤル?ダッチ?シェル（石油開発）などのグローバル企業(yè)がありますし、また、有數(shù)の天然ガス産出國（世界第9位、EUでは第2位）でもあります。
地勢(shì)的にみると、オランダはドイツ、ベルギーと接し、ヨーロッパ沿岸のEU各國と鉄道で結(jié)ばれており、また、ライン川河口には貿(mào)易港とコンビナートが整備され、歐州における物流の拠點(diǎn)としてなっています。
このようなオランダが、農(nóng)業(yè)分野で注目を集めているのは、その農(nóng)産物?食料品輸出額（農(nóng)林水産物及びその加工食料品の輸出額）です。國際連合貿(mào)易開発會(huì)議（UNCTAD）の統(tǒng)計(jì)によれば、オランダにおける2017年の農(nóng)産物?食料品の輸出額は1083億ドルで、米國の1378億ドルに次いで世界第2位となっています。ちなみに、日本の農(nóng)産物?食料品輸出額は、農(nóng)林水産省の資料によれば8073億円（約73億ドル）です。日本食ブームで近年食料品等の輸出が伸びているとはいえ、農(nóng)地面積が日本の40％程度のオランダの輸出額は、驚異的であるといえます。
歐州連合（EU）がもたらした農(nóng)業(yè)への危機(jī)感
元來オランダは、チューリップなどの花卉類やタバコなどの加工品など、農(nóng)作物?食料品等の輸出國ではありましたが、第二次世界大戦後に始まった歐州連合（EU）の形成で、その環(huán)境が一変しました。1980年代中盤に歐州経済共同體（EEC）が設(shè)立され、域內(nèi)の関稅が撤廃されるなど貿(mào)易が自由化されたことで、オランダにはスペインなどから安価な農(nóng)作物が流入しました。そこでオランダは、新たな競(jìng)爭(zhēng)環(huán)境に対応するために、思い切った農(nóng)業(yè)成長(zhǎng)戦略を進(jìn)めます。
- （1）EUの大消費(fèi)地をターゲットとした、加工や中継を含む輸出戦略に徹する
- （2）農(nóng)地の集約化（クラスター化）を進(jìn)める
- （3）栽培品種の選択と集中により、高収益農(nóng)作物への特化を進(jìn)める
- （4）産官學(xué)連攜による農(nóng)業(yè)の合理化、ハイテク化を進(jìn)める
オランダに見る「スマート農(nóng)業(yè)」とは
オランダでは、全國に6か所あるグリーンポートが主な生産拠點(diǎn)です。そこには、いわば野菜工場(chǎng)さながらの巨大なガラス張りのハウスが立ち並び、土壌には點(diǎn)滴チューブのような管が無數(shù)に設(shè)置されて、溫度や濕度、二酸化炭素濃度、野菜の生育狀態(tài)などがモニタリングされています。また、販売?収益情報(bào)や市場(chǎng)価格、各種生産コスト、経営指標(biāo)なども経営に関する情報(bào)もモニターされます。生産者は、大半の時(shí)間を費(fèi)やしてこれらの情報(bào)をPC等で監(jiān)視し、農(nóng)業(yè)を行っています。まさに、未來的な農(nóng)業(yè)が実現(xiàn)されているようです。
一方、このような管理生産を行うには、電力や熱源といったエネルギーコストの問題があります。これに対しては、産出國の強(qiáng)みで天然ガスが活用されています。発電はもとより、副産物である排熱や二酸化炭素を使って、野菜の生育環(huán)境を適正コストで整備することが可能となっています。
この他にも、産學(xué)官連攜による研究施設(shè)が整備され、生産設(shè)備や監(jiān)視データの管理、農(nóng)業(yè)経営コンサルタントなどの農(nóng)業(yè)経営に必要なサービスを提供する農(nóng)業(yè)ベンチャー企業(yè)も育っており、グリーンポートの運(yùn)営を支えています。
日本の農(nóng)業(yè)はオランダ型でよいのか
オランダにおける「スマート農(nóng)業(yè)」は、畫期的なイノベーションだと思います。IT活用による合理的な農(nóng)業(yè)は生産性向上の観點(diǎn)から見習(xí)うところが多く、周辺産業(yè)への波及効果も大きいと思います。また、大規(guī)模な耕作放棄地等を活用する手段としても有効ではないかと思います。
しかし、日本がオランダ型の戦略的な農(nóng)業(yè)を?qū)g現(xiàn)できるのかというと、さまざまな課題もあるようです。オランダは大陸にあり大消費(fèi)地とは陸続きですが、日本は島國です。オランダの穀物自給率は15％前後（日本は30％弱）と低く、穀物は輸入すればよいと割り切っているようです。また、多様な味覚に合わせて、日本では地域ごとに多品種栽培が主流で、これが海外で評(píng)価されている一面もあります。オランダのように合理的な戦略が可能なのか、その答えは、少し先になるのではないでしょうか。
