今年の4月に代表取締役社長に就任しました。芳井會長の社長在任期間には良い時ばかりでなく厳しい時もありましたが、そうしたなかでも會長があらゆる問題に“正対”する姿を間近で見てきたことはかけがえのない経験であり、私自身の糧となっていると感じています。今後は芳井會長と共に、大和ハウスグループの持続的成長に向けて力を盡くしてまいります。
學生時代から建設業(yè)界を志望しており、當時大和ハウス工業(yè)が新たに流通店舗事業(yè)部を作り、モータリゼーションの進展に合わせてロードサイドの店舗づくりに著手するというニュースを聞き、一般的な建築にとどまらないまちづくりに攜わることができると考え、入社を希望しました。大學を卒業(yè)する前から営業(yè)職として入社し、卒業(yè)前にお客様から受注できたことは今でも忘れられません。新入社員にここまで任せる大和ハウス工業(yè)には、既成概念にとらわれず挑戦を後押しする企業(yè)風土があるのだと感じました。
私の流通店舗事業(yè)部時代に、ファーストリテイリングの前身である小郡商事への提案を一擔當者として手がけました。一度は提案を卻下されたのですが、埼玉県から山口県宇部市まで駆けつけて出店會議でプレゼンの機會をいただき、最終的には現(xiàn)在ファーストリテイリングで代表取締役會長兼社長を務められている柳井さんから承諾をいただきました。當時のユニクロはまだ関東エリアに出店されていませんでしたが、いずれは世界を目指すと宣言する柳井さんのパッションに、他の経営者にはないものを感じました。柳井さんとの出會いは、最も印象深い出來事の一つです。
また、これまで経験した事業(yè)のなかでも、つくば支店長時代に大型複合商業(yè)施設のプロジェクトマネージャーとして従業(yè)員の聲を取り入れて成功に導いたことや、住宅事業(yè)本部長時代の「名もなき家事」を家族で共有する「家事シェアハウス」の事業(yè)化、そしてお客さまや協(xié)力會社さま、サプライヤーの方々との対話からニーズをつかみ、高級商品や木造商品など新たな住宅のラインアップをご提供できたことは心に殘っています。
このような経験の中で、今まで數(shù)々の現(xiàn)場でお客さまやテナントさま、行政、金融機関、不動産會社などの方々に教えていただいたことが知識として積み重なり、現(xiàn)場力が身に著きました。それが私自身の強みとなっているのではないかと考えています。現(xiàn)場を大切にして、現(xiàn)場から変えていくという考え方と行動は今でも変わりません。
私は、常に「一隅を照らす」という言葉を信念として業(yè)務にあたることを心がけています。「一隅を照らす」とは、自分を磨くことです。自分を磨けばその光で周りが明るくなり、周りが明るくなれば會社が良くなり、自分が良くなり、そして社會も良くなる。當社グループの従業(yè)員にも、さまざまなことが起きる日々において「何のために仕事をするのか」を理解してもらいたいという思いを込めています。また、経営判斷に迷う時には、會津藩の言葉「ならぬものはならぬ」を心に留めています。最初の判斷を間違うと、大きな失敗につながるということ。何かを始める時には肝に銘じるようにしています。

社長就任にあたり、私は國內(nèi)事業(yè)を擔當しますが、この國內(nèi)事業(yè)にはまだ伸びしろがあると考えています。少子高齢化が進む中、これから新築物件の大きな増加は見込めないでしょう。しかし、現(xiàn)在さまざまな地域で起きているインフラの老朽化などの問題、あるいは自然環(huán)境やライフスタイルの変化による社會課題があるところにビジネスチャンスは必ずあります。そこに、創(chuàng)業(yè)來70年にわたって全國で事業(yè)を展開し、各地に営業(yè)所をもつ當社グループの強み、すなわち地域密著型の情報量が生きてくると考えています。今やインターネットでも情報を得ることはできますが、最も大切な情報は現(xiàn)場でしか知り得ないと確信しています。その最たるものは、お客さまの顔。顔が見えない仕事は信頼できません。地域に根差した情報を重視することで、當社グループの価値をさらに向上することができると考えています。
まず注力すべき分野として、ハウジング領域の請負?分譲事業(yè)、管理事業(yè)、リブネス事業(yè)の展開を強化していきます。ビジネス領域についても、土地情報力やテナント企業(yè)さまとのリレーションという當社グループの強みを活かして更なる成長を目指していきます。
今後の成長分野の一つとなるデータセンターの強化に向けては、4月1日にデータセンター事業(yè)本部準備室を設置しました。データセンターの一番の課題は、熱の問題を將來的にどのようにコントロールしていくか。そうしたハード面の課題もあり、データの量や質、施設の安全性、BPOなどソフト面の課題もあり、建物を作って終わりではなく、その後の対応策の検討が必要です。
リブネス事業(yè)の強化も進めています。元々、リブネス事業(yè)を立ち上げたのは芳井會長と私です。名前、ロゴの色も自分たちで決めて大切に育ててきました。當社グループにはストック事業(yè)のブランドがなかったため認知度が低く、まずはブランディングをしました。そして個人向けの住まいの仲介、リフォーム、買取再販、賃貸管理に至るまでお客さまの課題を解決する部署を作り、システムを整え、ノウハウを積み重ねてきました。その後相続稅対策に関連する集合住宅についてもソリューションを提供し、著実に伸長しています。更に、2024年には事業(yè)用施設を対象にしたBIZ Livnessを立ち上げました。工場、倉庫、商業(yè)施設、ビルなどの建物を壊さずに、耐震性能や環(huán)境対応などの付加価値をつけて再活用するためのコンバージョンやリフォームをする事業(yè)です。リブネス事業(yè)は2030年代には売上高1兆円規(guī)模を目指しています。
一方、サプライチェーンにおいて國産材の活用を図ることを目的に私が名稱を決めたFuture with Woodプロジェクトも進めています。非住宅の木造?木質化を推進しながら、約10年後には非住宅木造事業(yè)において業(yè)界トップの規(guī)模を目指していきます。

大和ハウスグループは、サステナビリティ経営を推進するにあたり、財務価値と非財務価値とのつながりを、どのように社會と共有し、持続的成長につなげていくかを重視しています。社會にコミットすべき指標が數(shù)多くあるなかで、ZEH率、ZEB率などの環(huán)境指標の目標は、戦略の中心に必ず置き、その進捗をモニタリングしながら成果を挙げ、脫炭素社會に向けて貢獻していきます。
住宅分野だけ見れば他社との大きな差別化は難しいかもしれません。しかし、大和ハウスグループには幅広い事業(yè)領域があります。非住宅分野も含めた総合的なまちづくりに、ゼネコンとして、あるいはデベロッパーとして関わることができます。さらには、環(huán)境エネルギー事業(yè)という獨立した事業(yè)もありますので、建物を引き渡した後の電力小売り事業(yè)も含め、長きにわたってお客さまに寄り添いながら、共に環(huán)境課題に向き合うことができる點は、當社グループの強みだと考えています。
また、當社では不動産開発投資のハードルレートとしてIRRを採用していますが、日本で初めてICP（インターナルカーボンプライシング）を導入しました。日本國內(nèi)だけでなくヨーロッパの數(shù)字を見たりしながら社內(nèi)で協(xié)議して、CO21トン2萬円と評価しました。挑戦的な數(shù)字ではありますが、投資を検討する際に環(huán)境価値も考慮してもらうという、現(xiàn)場サイドの意識付けにも重要な役割を果たすと考えています。環(huán)境対応にはコストがかかります。経済と環(huán)境を両軸で回すために、ICPの導入で社員が積極的にカーボンニュートラルに向けた投資に取り組み、財務価値の向上にもつなげていきます。
一方で、お客さまの意識も変化しつつあり、流通、建築のZEB率、住宅のZEH率は向上しています。集合住宅もZEH-M標準対応商品のTORISIA（トリシア）などの発売が功を奏し、カーボンニュートラル戦略は順調(diào)に進捗しています。
近年、夏場の異常気象など地球環(huán)境への対応は待ったなしの狀態(tài)です。當社グループの事業(yè)規(guī)模や業(yè)界で注目される立場であることを鑑みると、率先して環(huán)境問題に対応していかねばなりません。
東日本大震災の後、戸建住宅「xevo」の斷熱性能を上げ、太陽光パネル、エネファーム、リチウムイオン蓄電池を搭載して、インフラの課題が起きた時も雨天でも約8日間自立できる住宅を商品化しました。災害発生時に、スマホの充電やテレビ、ラジオ、冷蔵庫、扇風機といった最低限の生活インフラを維持するレジリエンス機能のある家を最初に作ったのは當社グループです。自然災害などの問題があった時、まず人を守ることは我々のベースであるDNAに組み込まれています。経済価値と環(huán)境価値?社會価値は相反するのではなく、両立しなければなりません。これからも私たちの事業(yè)を通じて何ができるのかしっかり考え、お客さまに提案していきます。
環(huán)境省が主催する「ESGファイナンス?アワード?ジャパン」の環(huán)境サステナブル企業(yè)部門においても、2023年度は銀賞、2024年度は金賞をいただきました。そういう部分でも我々の取り組みは一定の評価をいただいていると感じています。