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Sustainable Journeyは、
2024年3月にリニューアルしました。
連載:私をつくる、モノやコトのはなし。
2024.09.30
世界中から異能の科學者が集まる沖縄科學技術大學院大學(OIST)の博士課程で、ミツバチの研究に取り組む長谷川のんのさん。
國連食糧農業機関によれば、世界の農作物の3分の1以上はミツバチが受粉しており、私たちの生活はミツバチに支えられているといっても過言ではありません。ところが今、養蜂に使われているセイヨウミツバチが、寄生蟲とウイルスによって減少しています。
長谷川さんはその原因などを解明する研究に勵み、論文が世界的な科學雑誌の表紙に取り上げられるなど、高く評価されました。探究心のもとに邁進する、長谷川さんの人生を豊かにするモノとは?
ミツバチに魅せられた理由は?
最初に所屬したカナダのゲルフ大學の研究室がミツバチを扱っていたんです。そこで「ミツバチ、超可愛い!」と思って(笑)。とりつかれたように、ハチを扱ういろんな研究室に行きました。養蜂と研究を一緒に行っている研究室があって、そこでボランティアもしたり。
もともと昆蟲がお好きだったんですか?
そうなんです。子どもの頃、誕生日やクリスマスに大きい図鑑を買ってもらうのが楽しみでした。一人っ子で遊ぶ相手がいなかったので、図鑑を見て生物の分布を覚えたりするのが好きでしたね。
學生時代から、科學に関心がありましたか?
中學校の時、科學の授業で「人生が変わった」と感じる瞬間がありました。潮の満ち引きに関して、先生が口頭、実技でテストをしたんです。太陽、地球、月を表す3つのボールを渡されて、仕組みを説明するというものでした。先生がフラッシュライトを當ててくれて。視覚的に理解できて、すごく面白かったのを覚えています。
その頃から研究者になりたいと思っていたのでしょうか?
実は、研究者になりたいと思ったことはないんです。昔からやりたいことがたくさんありすぎて三日坊主になってしまうことが多くて。そのやりたいことの一つに研究がありました。大學2年生の時、ブリティッシュコロンビア大學のインターンシップでミツバチのタンパク質の研究をしたら楽しくて、そのまま今に至ります。
研究は、趣味を仕事にするという感じです。身の回りにも「研究者」という職業を目指していた人はあまり見かけず、好奇心旺盛で気づいたら研究の道に進んでいたというパターンが多いですね。
研究には、今まで誰も知らなかったことを発見していく面白さがあるんです。學生たちに向けてキャリアに関するセミナーを頼まれたりすることがあるのですが、將來の選択肢の一つに研究を入れてもらえたら、と思っています。
今、日々の楽しみは何ですか?
運動です! 筋トレとサーフィン、ボルダリングですね。週に5回は朝5時に起きて、5時半にジムへ行き、1時間ウエイトリフティング。細くてしなやかなカラダをつくるより、カラダ全體を大きくして"ゴリラプリンセス"を目指しています(笑)。その後、家に帰って、8時頃には研究室に行きます。朝のほうが活動的で、夜は早く寢てしまいます。
ボルダリングは週に2回、バレーボールもするから、週に7、8回は運動しているかな。サーフィンは、茅ヶ崎市出身なので昔からしています。
すごい運動量ですね! 研究の息抜きになるのでしょうか。
研究って、家にいてもずっと頭の中に"いる"んです。「データ解析はどうしたらいい?」とか「なんでうまくいかなかったんだろう」とか、頭から離れない。でも、筋トレをしている間は無心になれて、まったく考えていません。ボルダリングをしている時も、頭の中は「どうやったら登れるかな」ということばかりで、研究のことは浮かんでこないんです。
4年間、筋トレを続けていますが、絞ったりはしてなくて、體重も筋肉も増やしていこうとしている狀態です。まだ"天井"が見えていない狀態。研究は成果が見えにくいけど、筋トレは努力した分だけ変わるし、目に見えて結果が出る。1カ月前に上げられなかったウエイトを上げられるのは楽しいですね。
継続は力なりですね。ミツバチの研究もこれからずっと続けていくのでしょうか。
はい! 今は少し離れて食蟲植物の研究をしていますが、ミツバチの研究に早く戻りたいと思っています。フィールドワークが大好きで、養蜂家さんと採取しに行ったりするのも楽しくて。いずれは大きな土地で、在來種のニホンミツバチの養蜂をするのが夢ですね。
1997年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。幼少の頃より英語に親しみ、カナディアン?インターナショナル?スクールを経てカナダのゲルフ大學に入學。卒業後、沖縄科學技術大學院大學(OIST)の博士課程へ。數カ月間でミツバチに寄生しウイルスを持ち込むダニの研究結果を論文にまとめたところ、科學雑誌『BMC Genomics』に掲載され評価される。現在は食蟲植物の研究にも取り組む。
大和ハウスグループも「生きる歓びを、分かち合える世界」の実現に向け、様々な取り組みを進めていきます。
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