想定來(lái)場(chǎng)者は0?120歳、誰(shuí)もが子どもになれる

大阪?関西萬(wàn)博の會(huì)場(chǎng)の広さは約155ヘクタール、東京ドーム約33個(gè)分の広さです。クラゲ館が位置するのは、8名のプロデューサーが手がける「シグネチャーパビリオン」エリア。クラゲ館をプロデュースするのは、「創(chuàng)造性の民主化」を目指し、STEAM教育家?音楽家?數(shù)學(xué)研究者として活動(dòng)する中島さち子さんです。

「いのち」や多様な人が重なり合い生まれる「?jìng)€(gè)性のゆらぎ」の象徴として、変幻自在に姿を変える原始的なクラゲがモチーフに採(cǎi)用されました。近づいていくと、名前の通りクラゲを連想させるような白い大屋根が見(jiàn)えてきます。

シグネチャーパビリオンエリアの中央広場(chǎng)（いのちパーク）側(cè)から見(jiàn)た様子。白い大屋根から伸びた木材パーツは、クラゲの觸手のようにも見(jiàn)えます。

構(gòu)造は地上2階建て。內(nèi)部のシアター空間に覆いかぶさるかたちで、土手をイメージしたという半屋外の「プレイマウンテン」が広がります。土手を縫うように設(shè)置されたスロープを進(jìn)むと、中央には鉄骨の立體トラス※1と木材を組み合わせてつくられた「創(chuàng)造の木」があり、枝葉が茂るように木材のパーツが屋根の外にまで伸びています。

※1：部材で三角形をつくり、その三角形の集合體で建物を支える構(gòu)造のこと。

大きな木のある公園をイメージしています。

「プレイマウンテンは"ゆらぎのある遊び"がコンセプトです。プロデューサーの中島さんが著目するのは、0?120歳の誰(shuí)もが持つ"子ども性"。子どもって、気づいたら何かをつくったり遊んでいますよね。すべての人が創(chuàng)造性を発露させる場(chǎng)として楽しんでほしいです」（大野さん）

今回お話を聞いた建築系共通技術(shù)部門 東京企畫開(kāi)発設(shè)計(jì)部の大野潤(rùn)也さん（中央）、同部門大阪企畫開(kāi)発設(shè)計(jì)部の長(zhǎng)谷川公彥さん（右）、早坂遼さん（左）です（2025年3月現(xiàn)在）。

クラゲ館の持つテーマは「いのちを高める」。決まった答えを提示するのではなく、仕掛けという"問(wèn)い"を通して一人ひとりの創(chuàng)造性を引き出していくのだといいます。

その仕掛けはパビリオンの中をのぞけば明らかになります。「遊び場(chǎng)」といいながらも、ブランコや滑り臺(tái)のような、いわゆる典型的な遊具は存在しません。

「遊び方は決まっておらず、『こういうふうに遊びましょう』といった説明書きもありません」（早坂さん）。曲がりくねった手すり、芝生から生えた觸角のような物體、音の鳴るポール……なんとなく不思議なものがある、という興味からつい手を伸ばして、觸れて確かめたくなります。

「私たちは大人になるにつれて、いつの間にか遊びを忘れてしまっています。なので、いろんな公園を巡って『遊びってなんだっけ？』から考えました。『こうしたら遊んでくれるかな』はイメージしましたが、私たちの想像を超えて、自由に新しい遊び方を生み出してほしいです」（長(zhǎng)谷川さん）

ポールの先には音の鳴るオルゴールボールが取り付けられています。

「実は、一番楽しいのは芝生の凸凹や陵丘かもしれません。高さが変わると目線も変わって、見(jiàn)える世界もガラリと変わります。この感覚をぜひ味わってほしいですね。芝生にもたくさん入ってほしいですし、芝生もどんどんはげていい。それが遊んでくれた証拠ですし、何より自然な光景だと思うんです」（早坂さん）

いのちを感じられる空間

建物中央に位置する「創(chuàng)造の木」の周りには、楽器が配置されています。「楽器に觸れることで創(chuàng)造の木の"幹"部分が光ったり、音が鳴ります。一方的に何かを見(jiàn)る、受け取るのではなくてインタラクションがあることで、本物の生き物と接しているような感覚になります」（大野さん）

大屋根に映る光も點(diǎn)燈したり色が変わるため、夜になると海を泳ぐクラゲのようにも見(jiàn)えるそうです。五感の高まりを感じながら、知らない來(lái)場(chǎng)者同士の共創(chuàng)（協(xié)奏）も生まれていきそうです。

創(chuàng)造の木の上部にはライトが設(shè)置されており、楽器を鳴らすとライトの色も変化します。

プレイマウンテンに視線を戻すと、種類の異なる數(shù)種類の植物が植えられていることに気づきます。

「萬(wàn)博記念公園に自生している野草をいただいて植えています。このパビリオンは私たちのチャレンジでもあって、つくって壊すのではなく、本來(lái)捨てられるものに価値を見(jiàn)出したり、閉會(huì)後の資材の利活用を踏まえた設(shè)計(jì)に挑戦しています。クラゲの中には分裂を繰り返して永遠(yuǎn)に生きるものがいるそうです。価値をつないでいくとか、繰り返し使われるといったサーキュラー建築の観點(diǎn)でもぜひ注目してほしいですね」※2（長(zhǎng)谷川さん）

※2：「サーキュラー建築観點(diǎn)でのクラゲ館」については6月に掲載予定です。

ところどころに植えられた野草は、大阪府吹田市にある萬(wàn)博記念公園から採(cǎi)取したもの。

半屋外のパビリオン、猛暑対策は？

遊びや體験という観點(diǎn)から考え盡くされた當(dāng)館ですが、毎年記録的な暑さが更新される日本において、半屋外の空間は大きな課題でした。

「當(dāng)初から公園というコンセプトがあったため、半屋外であることは外せませんでした。夏季の気溫に加えて、大阪?関西萬(wàn)博が開(kāi)催される夢(mèng)洲は海に面しているため、海から吹く風(fēng)も考慮しなければなりません。猛暑や強(qiáng)風(fēng)の中でも、來(lái)場(chǎng)者の方々が快適に過(guò)ごせる環(huán)境づくりが必要でした」と話す大野さんが、おもむろに屋根を指さします。

「大屋根に隙間が空いているのがわかりますか？ 受け止めた風(fēng)をあのベンチレーター※3が程よく逃すことで、パビリオン內(nèi)に吹き込む風(fēng)速を半分くらいまでに抑えてくれます。CFD（數(shù)値流體力學(xué)）解析を用いて風(fēng)の速度と空気溫度を制御しているんです」。

※3：室內(nèi)と室外をつなぐ換気裝置のこと。屋根や屋上や車體などに設(shè)置されます。

言われないと見(jiàn)逃してしまいそうですが、大屋根に隙間が空いているのがわかります。また、この大屋根は明るさは維持しながら、太陽(yáng)熱を遮斷するつくりになっています。

さらに、吹き込んだ風(fēng)はパビリオン內(nèi)に設(shè)置されている池や滝（水景）により冷卻?除濕されて建物內(nèi)を循環(huán)します。水景に流される水は、熱交換器を通した冷卻水を使用しており、冷卻水による水面からの放射冷卻?水面気化によって空気が冷やされ、溫度が低下する仕組みです。パビリオンの床下にも冷卻水のパイプが敷かれていて、夏場(chǎng)でも快適に過(guò)ごせるそうです。

會(huì)期中はこの水景に冷卻水が流されます。自然界の滝のような存在です。

「実はこのパビリオンの総重量ってすごく軽いんですよ。埋立地というエリア特性上、通常の建物の場(chǎng)合は地中に杭を打つ工事が必要ですが、半年という會(huì)期や解體後のことを考えると、資材や資金などさまざまな面で過(guò)剰、サステナブルではありません。そこでテクノロジーを駆使して、掘った土と同じ重量でパビリオンを仕上げました。最新の技術(shù)って目立たなくていいんです。私たちの中では、あくまでも遊びや體験を下支えする裏方の役割ですね」（大野さん）

一人ひとりが"いのち"を発揮し、"いのち"をつないでいくために——。クラゲ館に込められた思いや優(yōu)れた技術(shù)についても、ぜひ體感しながら萬(wàn)博を楽しんでください。次回は「閉會(huì)後の萬(wàn)博」をテーマに記事をお屆けします。