大和ハウス工業株式會社
~ 放射熱を抑える屋根材と空調導入を効率化するシステムを開発 ~
工場?倉庫や物流施設の安心?快適な環境づくりを技術で支援
大和ハウス工業では、猛暑日が年々増加する中、従業員に安全で快適な労働環境を提供するため、熱中癥対策の部材やシステムを開発しています。今回は、工場や倉庫で採用件數が増加している建築部材「低放射折板(せっぱん)屋根」と、2025年12月に導入予定の物流施設への空調設備導入を支援するシステム「(仮稱)D's Cool Logi(ディ―ズ クール ロジ)」を紹介します。
1. 放射熱を80%以上抑制できる「低放射折板屋根」の全國展開
一般的に工場や倉庫で広く採用されている折板屋根は、金屬製であり軽量?高強度が特長です。一方で日射により高溫化しやすく、放射熱による室內溫度の上昇が室內作業中の従業員の熱中癥リスクを高める要因となっていました。この課題を解決するため、當社は新築の工場や倉庫などを対象に放射熱を抑制する「低放射折板屋根」を開発し、2023年1月より本格運用を開始しました。
「低放射折板屋根」は、折板屋根の下面に低放射裏貼材(アルミ系遮熱シートとガラス繊維系斷熱材を組み合わせた獨自の低放射裏貼材)を接著することで、日射で高溫となった屋根からの放射熱を、一般的な折板屋根と比較して80%以上抑制することが可能です。

工場などの建設需要が多い関東?中部?関西など、地域を限定して先行採用を開始していましたが、國內各地で熱中癥対策部材の需要が高まっていることを受けて、2024年8月より、対象地域を全國に拡大しています。また、當初は準耐火建築物(※1)の工場や倉庫のみを対象としていましたが、大型倉庫など耐火建築物(※1)への設置も可能とするため、屋根30分耐火構造認定(※2)を2024年8月に取得しました。これまで43棟の建物に導入しており、採用棟數は年々増加しています。
今後は、グループ會社にも展開し、販売ルートの拡大を目指します。
※1.「耐火建築物」とは、主要構造部(柱?梁?床?壁など)が耐火構造であり、火災時に一定時間構造を保持できる建築物を指します。「準耐火建築物」は、準防火性能を持ち、一定の耐火時間を確保する建築物です。倉庫においては、建築基準法第27條により、3階以上の階が200㎡を超える場合は耐火建築物、延べ面積が1,500㎡を超える場合は準耐火建築物以上とすることが義務付けられています。
※2. 建築基準法に基づき、屋根部分が火災発生時に30分間燃え広がらない性能を有することを認定するもの。

2.物流施設への空調設備導入を支援する新システム「(仮稱)D's Cool Logi」
近年、熱中癥対策のひとつとして、物流施設に空調設備の導入を希望する企業が増加しています。株式會社ニッセイ基礎研究所と三菱地所リアルエステート株式會社が共同で実施した「企業の物流戦略におよび物流施設利用の関するアンケート調査(2024年7月?9月)」によると、荷主企業の73%が物流施設に求める仕様として空調設備の充実を重視していると回答しています。(※3)
このような背景を踏まえ、當社は物流施設への空調設備の導入を支援するため、導入費および運用費の概算を短時間で算出できるシミュレーションシステム「(仮稱)D's Cool Logi」を開発し、2025年12月に運用を開始する予定です。従來、空調設備の導入にかかるコストを算出するには、設備設計図の作成や設置する空調機の臺數を把握するシミュレーションが必要であり、これらの工程には1~2週間かかっていました。本システムでは、物流施設の床面積や高さ、1時間あたりのシャッターの開閉頻度などの情報と、空調稼働時間や設定溫度などの條件を入力すると、約10分で概算を算出することができます。算出時間を短縮することで、空調導入の初期検討段階で概算を提示することができ、導入企業様との調整を円滑に進めることが可能となります。
※3. ニッセイ基礎研究所と三菱地所リアルエステートサービスによる物流に関する共同アンケート調査
https://www.nli-research.co.jp/files/topics/80312_ext_05_0.pdf?site=nli

さらに、施設全體に空調を導入するケースだけではなく、必要なエリアだけに部分的に導入したり、スポットクーラーや大型送風機を活用するなど、複數のパターンを比較?検討できるため、お客さまの予算やニーズに応じて最適な空調計畫を提案することができます。
當社は熱中癥対策に関する提案力を強化することで、労働災害リスクの低減を支援します。また、従業員が働く環境の課題解決に向けた技術開発を通じて社會に貢獻します。
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