建築家 木村文雄教授をホストに、
様々な業(yè)界の第一人者と「いい家づくり」について語り合うトークセッション。
三回目は人と自然の中にある「ゆらぎ」を著目し、これからの家のあり方、
心地よい暮らしのつくり方を城戸淳二教授とそれぞれの目線で語っていただきました。
家の基本性能に「ゆらぎ」を加えたい
- 木村 文雄(以下、木村):暮らしと「ゆらぎ」の話が出ましたが、人を量子レベル(1メートルの10億分の1という極小の世界)で見ると、実はゆらいでいるんですよね。だから、川のせせらぎや樹木の葉が揺れて觸れ合う音とか、自然界から感じる「ゆらぎ」に親しみを感じるのかもしれませんね。

城戸 淳二(以下、城戸):何萬年も見て聞いてきたものですから。光、風(fēng)、その音と溫度、自然界のゆらぎをどう暮らしに取り入れていくかは、私たちの研究の永遠(yuǎn)のテーマだと思います。
木村:本當(dāng)にそうですよね。人の感情的な部分をつくっていくのはとても難しいことですけどね。
城戸:自然のゆらぎの中で、人もその一部としてゆらいでいく。そんな共鳴できる環(huán)境をつくるのが大事ですね。
- 木村:今後も、家はどんどん進(jìn)化して快適性を向上させると思います。その一方で、昔の家は內(nèi)と外が自然につながっていて、自然をとても近くに感じることができました。今それと同じことをするのは、とても難しいことです。夏の暑さ、冬の寒さを踏まえて、家は高気密?高斷熱化が進(jìn)んできましたが、私はそこに「ゆらぎ」を加えたいんです。そうすれば、人はもっと気持ちよく暮らせると思うのですけどね。
- 城戸:自然とつながる家は、目指すべき目標(biāo)ですね。
- 木村:本當(dāng)に。家の溫?zé)岘h(huán)境では、世界トップレベルですから。気密性や斷熱性に優(yōu)れた家は、住人の健康を考えるととても重要です。それをベースとして、空間をどう仕上げていくかが、やっぱり考えるべきポイントですね。
- 城戸:機(jī)能面と同様に、精神的に満たされる空間にすることがこれからはもっと大事になりますね。
- 木村:これから建築家は、そこまでしっかりと考えないといけないと思います。有機(jī)ELなどを活用して、これまでにない新しい家をつくりたいですね。
- 城戸:研究の仕事をしていると新しい技術(shù)に色々觸れるので、5年先10年先が見えてくるんです。新しい技術(shù)を使った空間はどんなものかを、一般の方よりはイメージしやすいと思います。
- 木村:研究の世界は一歩も二歩も先に進(jìn)んでいますからね。

有機(jī)ELは薄さ數(shù)ミリほどなので、折り曲げや巻くことに対応できる。
城戸:そうなんですよ。だからスマートフォンが折りたためるようにもなるし、ディスプレイは丸めて持ち運(yùn)びできるようになるんです。
木村:照明やディスプレイがロールで巻けるって、すごい話ですね。
城戸:小さなものはすでに完成しているので、後はいかにそれを大きくしてコストダウンするかなんです。技術(shù)はすでに完成しているので、後はメーカーとの連攜の話になります。
有機(jī)ELによる新しいものづくり、家づくり
- 木村:先生の研究も最近は細(xì)分化されてきて、今はいろんな製品づくりにトライされているんですよね。
- 城戸:そうなんです。少し前に「有機(jī)ELあんどん」を製作しました。照明器具を考える中で、和室に似合うのはなんだろうと思って、あんどんにたどり著いたんです。(笑)

木村:面白いですね。私はこのあんどん好きですね。(笑)
城戸:あんどんに火が入っているように見せるために、少し光をゆるがせているんですよ。
木村:一つ、暮らしの中に有機(jī)ELが新しいカタチで入りましたね。
城戸:このあんどんの他に乳児用有機(jī)EL照明というものも開発しました。子ども用品メーカーに友人がいて、連攜してみようということになったんです。
- 木村:たしかに有機(jī)ELの光は刺激を少なくできますし、乳児に優(yōu)しい光になりそうですね。
- 城戸:赤ちゃんはずっと上を見ているから、照明の光が直接目に入ると思ったんです。というのも、私が人間ドックで検査を受けて橫になっている時(shí)に、照明の光がまぶしいなぁと思ったのがきっかけなんです。(笑) そこから、赤ちゃんにとっていい照明とはどんなものかを考えるようになりました。
- 木村:とても面白いですね。気づきはどこにあるかわからないし、突然やってきますから。

城戸:完成したものは、天井に付けるのではなく、壁に掛けたり立てかけたりするものになりました。でも、今注目しているのは実はお母さんの方なんです。夜中に授乳するのに起き出すのはとても大変じゃないですか。起きた時(shí)にブルーライトの光を浴びると、目が覚めてしまい次に入眠しにくくなるので、そこを有機(jī)ELの光でサポートしようと考えています。
木村:筑波大學(xué)で行なっている睡眠研究のプロジェクトには、私も城戸先生と一緒に參加させてもらっていますが、研究開発はどんどん進(jìn)んでいっていますよね。
- 城戸:入眠前の3時(shí)間をLEDの下で過ごした人と、有機(jī)ELの下で過ごした人では、有機(jī)ELの下で過ごした方の人が深睡眠持続時(shí)間が長(zhǎng)いことがわかったんです。これは、照明の使い方で睡眠の質(zhì)を変えることができるということで、ぜひ住空間に取り入れたいですね。
- 木村:これからの家づくりは、より心地よさを重視する方向になっていくと私は思うんです。先生はこれから住むとしたらどんな家に住みたいですか?
- 城戸:木や自然を感じることができて、ゆらぎのある家ですね。もちろん有機(jī)ELもふんだんに取り入れて。
- 木村:その設(shè)計(jì)プランニングは任せてください。(笑)

城戸:ゆったりくつろげるものがいいですが、スマート未來ハウスに採用しているトイレに座ったら健康狀態(tài)がわかるとか、そういうサポート機(jī)能はあってもいいかな。でも、やっぱり、自然の延長(zhǎng)上にある家がいいですね。
木村:すごくわかります。建築家としては、家の性能部分も大事ですがそれと同じくらい暮らし加減を大切にしたいですね。暖爐を入れたいというオーダーがあってそれが難しかったとしたら、やめましょうではなく薪ストーブの代わりにペレットストーブはどうでしょうとか、住む方の思いに応えられるものを追求したいですね。
- 城戸:そこが一番大事なポイントだと、私も思います。
- 木村:しょっちゅうお話ししているので、すぐに意見がまとまりましたね。(笑) 先生、今日はありがとうございました。
- 城戸:こちらこそ、ありがとうございました。
建築家と住識(shí)者の「いい家つくろう會(huì)議」