建築家 木村文雄教授をホストに、
様々な業(yè)界の第一人者と「いい家づくり」について語り合うトークセッション。
初回となる今回は、有機(jī)ELの世界的権威である城戸淳二教授を迎えて、
光がつくる心地よい暮らしについて伺いました。
Profile

住宅設(shè)計(jì)アドバイザー 一級(jí)建築士
木村 文雄
山形大學(xué)工學(xué)部 特任教授 (前) 近畿大學(xué)建築學(xué)部 教授
1976年 芝浦工業(yè)大學(xué) 工學(xué)部建築學(xué)科卒業(yè)
ハウスメーカーにて住宅設(shè)計(jì)、商品企畫、研究開発などに攜わり
2013年4月より近畿大學(xué)建築學(xué)部 教授に就任
2019年4月より現(xiàn)職

有機(jī)EL(有機(jī)エレクトロルミネッセンス)の研究?開発者
城戸 淳二
山形大學(xué)工學(xué)部 教授
有機(jī)ELの世界的権威であり、照明用パネルの基礎(chǔ)研究から生産までを?qū)g現(xiàn)
大型有機(jī)ELテレビの基盤技術(shù)も開発
紫綬褒章を受賞のほか、世界の様々なアワードにも多數(shù)選出
有機(jī)ELはこれからの暮らしに欠かせなくなる
- 木村 文雄(以下、木村):城戸先生とは山形大學(xué)の実証実験棟「スマート未來ハウス」の設(shè)計(jì)プランニングなどでご一緒し普段からお話しする機(jī)會(huì)が多いのですが、今回はあたらめて色々と伺わせていただきますね。まずは、先生のイメージするいい家というのは、どういうものでしょうか。
- 城戸 淳二(以下、城戸):私は現(xiàn)在、一戸建てに住んでいるのですが、そこに住むのを決めたのは子どもが生まれたのが大きな理由です。土のあるところで育てたいと思ったんですよ。アメリカに5年くらい住んでいたことがあるのですが、向こうの友人の家は本當(dāng)に広くて、広い家で住みたいというのもありましたね。

木村:広い家というのは誰しもの理想ですし、夢(mèng)ですね。
城戸:それに、木村先生もそうですが、私のような研究というか、創(chuàng)造的な仕事をするには、無駄な空間がいると思うんですよ。無駄というのは簡(jiǎn)単に言い換えると余白です。今使っている研究室も一人では使い切れないくらいの広さを取っています。(笑) この余白がないと心に余裕を持てないですし、くつろげない。つまりはいい仕事ができないと。
- 木村:広さに対しての心の動(dòng)きですね。家づくりも余白があるといい空間になりますから。
- 城戸:ただ、余白といっても郊外や地方に住んでいるなら可能ですが、都市部に暮らす方にはやはり難しいと思います。そういう時(shí)に活用できるのが、最先端の技術(shù)だと思うんです。有機(jī)ELのような照明技術(shù)やディスプレイ技術(shù)を取り入れていけば、ゆったりできる空間演出はできると考えています。
- 木村:興味深い話ですね。有機(jī)ELが登場(chǎng)したところで、簡(jiǎn)単に説明していただいてもいいですか。

城戸:はい。有機(jī)ELは正式名稱を有機(jī)エレクトロルミネッセンスと言い、電気を有機(jī)物に流して光らせるというものです。LEDなどは無機(jī)物の半導(dǎo)體に電気を流して発光させていますが、それの有機(jī)版になります。例えば、蛍もホタルイカも光るコケも、私の研究している発光素子もすべて有機(jī)物。小さい子どもたちに話をする時(shí)は、人工の蛍と言っています。
木村:難しそうでもあるし、親しめそうな話ですね?,F(xiàn)在の暮らしに対する面では、どんなプラスがあるのでしょうか。
- 城戸:まだ暮らしに入っていく前段階ですね。10年後には普及していると斷言できます。テレビでいうと有機(jī)ELを使えば紙くらいに薄くできますから。
- 木村:いつも思うのですが、すごい技術(shù)ですね。
- 城戸:折りたたみのスマートフォンがもう登場(chǎng)していますよね。それと同じなんです?;澶耸工盲皮い胨夭膜瑯渲榨%毳啶胜韦潜·扦毪螭扦工?。有機(jī)ELのテレビはガラスを使っているのでその分厚みがでますが、本來は壁紙くらいにできます。従來の壁紙は空間演出がすべてですが、有機(jī)ELだとそれに照明や映像を映すという機(jī)能を持たせることができます。

手のひらに乗るほどの薄さ。リビングなどの照明に採(cǎi)用されている。
- 木村:私は有機(jī)ELのすごさは建築材料になるところだと思っているんです。壁紙が光ったり、巾木に貼って光らせたり、照明やテレビモニターが建材になるなんて革命的ですよ。これまでにないものですから。
- 城戸:壁紙みたいなテレビやモニターが、100インチのロールで買えます、という時(shí)代になります。それを空間に貼って好きな映像を流せばとても開放的な空間になると思いますね。
- 木村:壁面をつくらずシースルーになっている構(gòu)造體に透明の有機(jī)ELを貼れば、開放感を損なうこともありませんね。必要な時(shí)には大きな畫面で映像を見ることもできますし。
- 城戸:そういう使い方もできますね。これまで壁紙に照明やモニターの機(jī)能がプラスされるなんて誰も思っていませんが、それはもうそこまで來ています。
リビングの壁面がコミュニケーションツールに
- 城戸:ここまで色々お話しましたが、有機(jī)ELの課題は、いかに住空間に応用するかなんですよ。ディスプレイや照明といった単體ではなく、システムとしてどう活かしていくかが課題です。
- 木村:それは建築家にとっても課題ですね。建築家は照明器具をできれば天井などに付けたくないんです。間接照明をうまく使いたいという人が多いんですよね。有機(jī)EL一枚あるだけで照明になるわけですから、空間を考える時(shí)すごくやりやすくなるはずです。
- 城戸:スマート未來ハウスをプランニングされた時(shí)も、そういうお話しをされてましたね。

山形大學(xué)の研究開発の実証実験棟「スマート未來ハウス」
- 木村:有機(jī)ELのクオリティは間違いないのですが、それだけでは面白くないですからね。20年後の寢室はどうあるべきか、20年後のリビングはどうあるべきか、20年後のキッチンはというような話をしましたね。
- 城戸:20年も待たず、リビングの壁は有機(jī)ELになると思います。でも、私としては映像が映るのは通過點(diǎn)で、コミュニケーションツールになることが著地點(diǎn)だと考えています。
- 木村:もう一歩進(jìn)めるのですね。
- 城戸:今でこそパソコンでリモート會(huì)議などになりましたが、パソコンの小さな窓じゃなく、それこそ壁に等身大の人を映したい。ちょっとした表情の違いや聲のトーンまで実感できるようにしたいですね。

- 木村:地方と都市部に分かれて住んでいる親世帯と子ども世帯がディスプレイでつながるようなことができますよね。
- 城戸:そうなんですよ。息子の世帯のリビングと自分の家のリビングが映像でつながっていて、孫が遊んでいるとかですね。普通に聲をかけたら「なに?」って振り向いてくれるとか、うれしいじゃないですか。離れていても一緒にいる空気はつくれると思います。
- 木村:先生はスマート未來ハウスの壁のディプレイをコミュニケーションウォールと名付けてますもんね。
- 城戸:當(dāng)時(shí)は液晶のディスプレイを入れたんですが、できれば有機(jī)ELにしたかった。ダイニングには有機(jī)ELを採(cǎi)用していて、好きな映像コンテンツが映せるだけじゃなくコミュニケーションもとれるようになっています。

バスルームの壁面にもディスプレイを採(cǎi)用。壁面の照明も有機(jī)EL。
- 木村:有機(jī)ELのすごさはまぶしくないところですよね。じっと長(zhǎng)い間見ていられますから。今後大切になってくるのはLEDなどとの使い分けですね。ゆったりしたいところには有機(jī)ELを使って、懐中電燈みたいに集中した光がほしいところにはLEDを使えばいいと思います。
- 城戸:住空間と有機(jī)ELは本當(dāng)に相性がいいので、色々な部屋の役割に合わせて、どんな光がいいか考えていきたいですね。
建築家と住識(shí)者の「いい家つくろう會(huì)議」