
CASE8
醫療施設
すずらん整形&Lab
- 所在地:
- 茨城県つくば市東平塚727番地1
- 敷地面積:
- 2239.88m2(677.56坪)
- 延床面積:
- 299.54m2(90.61坪)
- 竣工:
- 2024年6月
- 用途:
- 整形外科、リハビリテーション科
- 院長:
- 石井壯郎 (いしい たけお)
患者様のことを第一に考え、カフェのような受付を持つ病院が完成
長年、整形外科醫、放射線科醫として一般外傷の手術などの経験積み重ねてきた石井壯郎院長は、「患者様に最先端の醫療を提供し、丁寧に説明し納得いただき、治療するクリニックをつくりたい」という思いを実現するために、開業を決意されました。
クリニック施設の建築は、院長自身がコンセプトを練り上げたあと、大和ハウス工業北海道支店所屬の一級建築士である、弟(石井洋一)に基本設計を依頼しました。そして基本設計ができたあとは、建設地のエリアを管轄する東関東支社が実施設計、施工を擔當し、2024年6月に完成しました。
つくば市のゆったりとした敷地には、病院とは思えない外観デザインの建物が、患者様を迎えます。本院では、オープンMRIを採用し、靜かで開放的な空間の中で、病変部を可視化し、患者様も納得した上で治療を行うことができます。患者様への説明は、プロジェクターに投影して行っています。
また、予防醫療として、ヨガとピラティスを取り入れているのも、すずらん整形&Labの特徴のひとつです。リハビリテーションだけでなく、健康なときから予防のために、ヨガやピラティス教室も開催しています。
計畫のポイント
院長の思い、コンセプトを実現するために、基本設計と実施設計を分擔して対応
院長の弟が、大和ハウス工業北海道支店にて一級建築士として勤務していたことから、基本設計を弟の石井洋一に依頼。そして、実際の実施設計に関しては、東関東支社の現地スタッフが対応することで、院長の思い描くクリニックが完成しました。
「病院らしくない病院にしたい」という思いを実現
院長から「クリニックっぽくないクリニックにしたい。カフェやリゾートホテルのような雰囲気にしてほしい」とのご要望がありました。基本設計を実施した札幌市在住、北日本支社所屬の石井洋一は、患者様が最初に訪れる受付のスペースに椅子とカウンターを設置するなど、カフェのようにリラックスできるデザインに設え、まさに「クリニックらしからぬクリニック」となりました。

中央部に司令塔があり、院長、スタッフの効果的な動線が可能な機能を持ちたい
最初に院長から依頼があったのは、中央にバックヤード、いわゆる司令塔の機能がある円形の建物でした。しかし、建物としての効率を考えると実現するにはは難しいため、中央部の司令塔機能はそのままに、院長をはじめとする働く人の効率的な動線が実現しました。
分かりやすい診斷とリハビリ、予防、ヨガやピラティスもできる施設づくり
MRIやCTIの結果は、プロジェクターで投影して患者様に説明するため、通常とは異なる診療室のレイアウト設計となっています。また、リハビリテーションや予防として、ヨガやピラティスができる広々とした部屋を準備。予防から治療、そしてリハビリテーションまでトータルに患者様に提供することが可能となりました。

患者様が來院した際、リラックスしていただける空間づくり
クリニック全體で、患者様にリラックスしていただくために、患者様の五感をいかに刺激するかを意識しながら、內部の設計は行われました。例えば、視覚においては、照明を単に明るさの機能だけでなく、待合室の間接照明は落ち著きを提供し、廊下では、壁や診察室側の番號を綺麗に照らすことで、すれ違う人に対しては顔が見にくくするなど、照明デザインに工夫を凝らしています。また、本院はオープンMRIを採用しており、通常のMRIに比べて靜かで、開放的な空間となっています。壁には、シラカバの綺麗な壁紙が設えられており、患者様に解放感と落ち著きを與えます。


お客様の聲
「建物を見て來た」人が多く、患者様も建物を評価

すずらん整形&Lab 石井 壯郎 院長
最初の段階で、基本設計を擔當した弟にコンセプトやイメージを伝えました。開業するクリニックのコンセプトや、病院內で、私が実際にどう動きたいか、リハビリテーションの先生をどう配置していくか、ピラティスをどこに持っていくかなどのポイントは頭の中にありましたので、あとは、その思いをどのようにデザインに落とし込んでいくのかということが課題でした。
クリニックらしくないクリニックにしたくて、カフェやリゾートホテルのようなイメージにしてほしいとお願いしたのですが、正直、ここまで良いものができるとは予想していなかったので、すごいと思いました。
私はプロジェクターでスクリーンに投影しながら患者様に説明するのですが、そのときに、理學療法士も一緒に診察に參加させます。最終的にその患者様をずっと診ていくのは理學療法士なので、初めの説明で情報を共有しておくことがとても重要です。患者様に説明している間に、理學療法士がどのようなセラピーをすればいいのかを考えています。そして、理學療法士がリハビリ室にエスコートしていくことで、確実に情報共有が図れます。
痛みが治まってくると、あとは再発防止が重要です。その再発防止を楽しく気持ちよくやっていただくために、リハビリテーションと予防を兼ねたヨガやピラティスを導入しました。待合室はシックなスペースにしてもらいましたが、リハビリスペースは明るくて健康的な、さわやかなイメージで設計をお願いしました。
當院の場合、Webで予約した時點で、アンケートに答えていただくのですが、「當院を何で知って來ましたか」という質問に対する回答の3分の1ぐらいが「建物を見て來た」人でした。この建物の配置と外壁と內裝は患者様からも評価されているのではないかと思っています。
これからは、予防醫學にも取り組みたいと考えています。今は、土日にピラティスやヨガを教えていますが、今後はもう少し科學的に客観的なデータを積み重ねて、Webやオンラインで発信できるようになれば、少しは社會貢獻になるのではないかと思っています。
「パースよりもかっこいいね」という評価をいただき、やった甲斐があった

北海道支店 北海道設計部 第二課 課長 石井 洋一
最初に兄からクリニックを作りたいという話がありました。まずは構想を聞いたところ、兄の中では、コンセプトがけっこう固まっていたので、簡単なラフスケッチを最初に渡して、基本設計を進めていきました。
ピラティスやヨガをメインとした空間づくりをしたいという思いを最初に聞いていましたので、それを前面に打ち出すような設計をしました。また、「いわゆる診療所っぽい建物にはしたくない。カフェやレストランのような雰囲気の外観にしたい」という要望も聞いていましたので、外観的にはシンプルモダンなイメージになるように設計しています。
受付はメインの顔となる場所ですから、そこをスタイリッシュにしながら、木目調の內裝を多く使って溫かみもありながら、ホテルのようなシックさもありながら、スタイリッシュな空間作りを目指しました。
目指したのはコンパクトな設計、無駄のない設計です。無駄をなくすために廊下の距離を短くする。効率的な動線にすることで建物全體をまずはコンパクトにする。その中で、先ほど言ったシンプルモダンな外観や、ヨガやピラティスを行うリハビリテーション室の空間づくりをして、効率的にコンパクトにまとめました。
実際の建物を見て、兄からは「パース通りだね、パースよりもかっこいいね」と、外観、內観ともに非常に喜んでもらえています。
実施設計という立場でサポート

東関東支社 建築設計部 第三課 擔當課長 黒澤 寛一
実際、デザインに関しては先生と弟さん(北日本支社 石井洋一)が全部やっていただいたので、それに対して、実施設計という立場で関わりました。
最初からほぼ完成に近い狀態で、ゾーニングやイメージも決まっていたので、あとは色と素材をどうするかを東関東支社でサポートしました。
先生もイメージがかなり固まっていたので、それに合う事例を紹介したり、素材を提案したりしました。特に內裝材に関しては、東京のショールームに何度も足を運んでいただきました。
また、照明に関しては、先生のこだわりがかなりありましたので、照明デザイナーに入っていただき、明るさに対してもいろいろと照度を確認しながら進めました。先生が求めていたクリニックができたのではないかと思います。