
相続?遺産分割の基本(2)申告期限までに遺産分割が確定しない場合、相続稅はどうなる?
公開日:2024/05/30
遺言がない場合は、相続人全員一致による遺産分割協(xié)議の成立によって各相続人の取得する財(cái)産が確定しますが、相続稅の申告期限までに遺産分割協(xié)議が整わないと相続稅の各種特例の適用なしで申告納稅が必要となってしまいます。
課稅の側(cè)面から見れば、遺産分割が確定しないと相続稅を払わないでよいとするわけにはいきません。そこで、相続開始を知った日の翌日から10か月以內(nèi)に、遺産分割の確定にかかわらず、相続人等は相続稅の申告をしなければなりません。
よって、遺言書などがない相続においては、分割協(xié)議が確定せず遺産が法定相続による共有狀態(tài)となり、単獨(dú)では遺産の利用が制限され、納稅資金の準(zhǔn)備が困難であるにもかかわらす、相続稅を納めなければならないという悲慘な狀態(tài)になります。
全員一致であればどのような分割でも可能
民法では各相続人の相続分を法定していますが、相続人は法定相続分どおりに相続しなければならないのでしょうか。
子どもが3人で長男が農(nóng)業(yè)を引き継ぎ、長女は他家に嫁ぎ、次男は會(huì)社勤めで獨(dú)立。財(cái)産の大部分が農(nóng)地で、その農(nóng)地を全部相続しないと農(nóng)業(yè)経営が成り立たないという場合、「法定相続分どおり」というのは難しくなります。その際は、農(nóng)地をすべて長男が相続し、長女と次男はわずかな預(yù)貯金だけを相続することで合意して遺産分割協(xié)議を終えればよいのです。もっとも最近は相続人全員が平等であるという意識(shí)が強(qiáng)くなっており、このような合意をしにくくなっているのも事実です。
分割協(xié)議がまとまらない場合の調(diào)停
遺産分割協(xié)議がまとまらない場合には、通常、家庭裁判所に調(diào)停の申し立てをします。調(diào)停は家事審判官と調(diào)停委員2名が、申立人とその相手方との話し合いを進(jìn)めることになります。相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる內(nèi)容であっても成立することになります。
合意できなければ、遺産分割の審判手続きが開始されます。審判は調(diào)停とは異なり、當(dāng)事者間の合意を根拠に遺産分割を行うのではなく、家庭裁判所における審判官の判斷で遺産分割の內(nèi)容が決定されます。審判においては、民法の規(guī)定する法定相続分に従うことが求められ、それを無視した遺産分割審判はできないものとされています(最高裁判所事務(wù)総局家庭局)。したがって、柔軟な解決は困難になることを覚悟しなければなりません。
相続稅申告期限に遺産分割が未了の場合
遺言書がなく、相続開始を知った日の翌日から10か月以內(nèi)の相続稅の申告期限までに相続人全員による遺産分割協(xié)議が調(diào)わない場合には、配偶者の稅額軽減などの特例規(guī)定の適用ができないこととされています。例えば、次のような特例の適用を受けることができた場合には、相続稅額の納付がほとんど必要ないにもかかわらず、遺産分割協(xié)議が調(diào)わなかったために多額の納稅をせざるを得なかったということもあります。
- (1)配偶者に対する相続稅額の軽減
- (2)小規(guī)模宅地等についての課稅価格の計(jì)算特例
- (3)特定計(jì)畫山林についての課稅価格の計(jì)算特例
- (4)農(nóng)地等についての相続稅の納稅猶予
- (5)非上場株式等についての相続稅の特例納稅猶予
- (6)山林についての相続稅の納稅猶予
- (7)醫(yī)療法人についての相続稅の納稅猶予
遺産分割協(xié)議はなるべく早く確定する
相続稅の申告期限までに遺産分割協(xié)議が確定しない場合には、相続稅法上の特例の適用を受けることができず不利益を被ることになります。相続人一同でよく話し合い、申告期限內(nèi)に分割協(xié)議を確定したいものです。
相続稅の申告期限までに分割が確定しないとしても、3年以內(nèi)には分割協(xié)議を終えたいものです。また、なかなか結(jié)論が出ない場合においても、3年以內(nèi)には家庭裁判所に調(diào)停や審判の申出をする等をして、やむを得ない事情であることを明らかにして稅務(wù)署長の承認(rèn)を得ておくことが重要です。分割が確定しないからといって諦めずに、粘り強(qiáng)く交渉を続けることが、特例を適用できる必須條件です。
相続開始を知った日の翌日から10か月の相続稅の申告期限に分割されていない財(cái)産について、分割後に上記(1)から(3)までの特例の適用を受けようとするときは、申告期限までに提出する未分割の相続稅申告書とともにその旨、分割されていない事情及び分割の見込みの詳細(xì)を記載した「申告期限後3年以內(nèi)の分割見込書」を提出する必要があります。つまり、相続稅の申告期限から3年以內(nèi)に遺産分割協(xié)議が調(diào)えば、分割が行われた日の翌日から4か月以內(nèi)に更正の請求手続きをすることによって(1)から(3)までの特例の適用を受けることができます。
また、調(diào)停等を行っている等やむを得ない事由がある場合に限り、申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月以內(nèi)に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認(rèn)申請書」を提出した場合には、3年という制限期間を延長することができます。
申告期限までの國等への贈(zèng)與は非課稅
相続稅の申告書の提出期限までに相続又は遺贈(zèng)により取得した財(cái)産のうち、國?地方公共団體、又は特定公益増進(jìn)法人や特定認(rèn)定NPO法人等に対し贈(zèng)與したものについては、相続稅がかかりません。ただし、この贈(zèng)與により贈(zèng)與した人やその親族等の相続稅や贈(zèng)與稅の負(fù)擔(dān)が不當(dāng)に軽くなる場合は除かれます。相続財(cái)産のうち自分に必要のない遊休財(cái)産があれば、それらを「世の中の役に立つ」ように贈(zèng)與し、必要な財(cái)産だけを殘しておけば、余分な相続稅を払わなくて済みます。
この寄附を検討されているご家族は、この非課稅特例を活用できるよう申告期限までに遺産分割を確定し、自分たちの溫かい想いを?qū)g現(xiàn)できるように、生前に細(xì)かい點(diǎn)まで決めておく必要があります。
遺言で特例適用を確保する
自分の相続人たちが遺産分割をスムーズに終えることができない懇念があるなら、遺言書を作成しておくことが相続稅法上の有利な特例を適用できる確実な方法です。遺言書があればとにもかくにも遺産の取得者が決まりますので、たとえ後から遺留分侵害額請求をされたとしても、代償財(cái)産を支払えば事足りるからです。ぜひ、ご一考ください。