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コラム vol.555
  • 土地活用稅務コラム

不動産オーナーの相続対策暦年課稅と相続時精算課稅制度を比較する

公開日:2025/06/30

相続稅と贈與稅

適切な額を繰返し贈與する、評価を下げて贈與するなどを実施すれば、贈與はシンプルで有効な相続稅対策といえます。ただし、贈與稅の累進稅率は相続稅の累進稅率よりはるかに高く、また、贈與稅の基礎控除額(年間110萬円)は、相続稅の遺産に係る基礎控除額(3,000萬円+600萬円×法定相続人の數)とは比較にならないほど小さな金額になっています。
家族に財産を生前に贈與して贈與稅を納めるか、または相続が発生してから相続稅を納めるか、どちらのほうが稅金の負擔が軽くて済むかはケースによって異なります。例えば、一時に全財産を移転する場合は、実効稅率の低い相続稅の方が有利といえるでしょう。しかし、贈與は贈與者が選んだ時に、選んだ人に自由にできますから、相続稅の実効稅率よりも低い稅率の範囲內で贈與するならば、贈與のほうが稅法上有利といえるでしょう。
注目したいことは、贈與稅には年間110萬円の基礎控除額があることです。この基礎控除額を利用して生前贈與を行うことは、相続稅対策として効果のある方法でしょう。相続財産を減少させることができる上、年間110萬円以下の贈與額ならば贈與稅はゼロだからです。しかし、あまり少額な贈與では相続財産を減少させる効果はほとんどありませんし、高額すぎる贈與は、相続対策の効果は大きくても贈與稅の負擔が非常に重くなるので、結果的にはマイナスになることも考えられます。

7年以內の贈與財産は相続財産に加算

相続開始前7年(令和5年末までの贈與の場合は3年)以內の贈與は持ち戻されて相続稅が課稅されます。贈與によって不當に相続稅を免れないように、被相続人から相続等によって財産を取得した人については、被相続人が死亡した日から遡って7年(令和5年末までの贈與の場合は3年)以內に被相続人から贈與された財産を相続財産に加算し、その代わりに、納稅した贈與稅については相続稅から控除するという制度が設けられています。この場合、控除しきれない贈與稅については還付されません。よって、原則として、相続開始前7年以內の相続等により財産を取得した人への贈與は、相続稅対策としては効果がないのです。
生前に贈與できれば財産の移転という意味では成功ですが、稅務対策の観點では、相続財産に持ち戻されることになり効果がありません。したがって、稅務対策も兼ねて生前贈與をするときには、相続人に対しては計畫的に贈與を行い、持ち戻されることのないように行うのがよいでしょう。令和6年1月1日以後の贈與から、相続開始前加算対象期間が3年から7年に延長されましたので、相當早くから贈與を行わないと稅務効果がありません。
また、加算対象者は相続等により財産を取得した相続人等に限られますので、遺産等を取得しない人に対する贈與の場合は加算対象外となっています。例えば、相続人の配偶者(嫁や婿)や孫などの相続人でない人たちへの贈與です。これらの人への贈與ならば、相続の直前であっても持ち戻されることなく贈與稅のみで完結します。ただし、遺言で財産をもらった人、死亡保険金を受け取った人等の場合には、相続稅の納稅義務者となりますので、生前贈與加算を受ける対象者になることに注意してください。

居宅の持分贈與は要注意

贈與稅を安くしようと、數多くの親族に少しずつ分散して贈與する人がいます。この場合、簡単に分けることのできる現預金については問題ありませんが、不動産の持分贈與については要注意です。不動産について贈與により共有になると、収入や諸費用を分けたりする手間や、売卻や増改築する際に意見が食い違うなど困った狀態になるからです。
特に居宅の贈與の場合、居住者以外の人がもらっても使うことのできない財産となりますので、固定資産稅の負擔の問題もあり、相続後居住者である相続人が兄弟等から持分の買い取りを請求されるケースが増えてきています。居住者である相続人が収益性や換金性のない居宅を買い取らなければならなくなった場合、資金もなく非常に困ってしまうことにもなりかねません。居宅やその敷地を居住している人以外に贈與するのは避けたほうがよいでしょう。

相続時精算課稅制度を効果的に活用する

相続時精算課稅制度であっても、上手に活用すれば相続稅の稅額が減少していることもあります。
今後の資産価値を予測することは非常に困難ですが、収益性の高い不動産や値上がりが予想される土地、収用が予想される不動産は有利な贈與財産といえるでしょう。例えば、ここ數年のうちに市街化區域に編入されることが予想される調整區域內の土地や再開発が決まり変身する地域、収用予定地などがあります。
このように、現在は利用制限や環境不良により評価額が低いにもかかわらず、將來その利用価値や環境が改善されることが予想され、評価額の上昇が望めるものについては、これらを評価の低いうちに贈與することは大事な視點です。 賃料収入が確実に入ってくる不動産を贈與すると、低い評価額で贈與でき、安定収入がそのまま後継者に移転できるというメリットがあります。
ただし、なるべく高収益な不動産でないと費用倒れになることも考えられますのでご注意ください。特に典型的なのがロードサイド店舗や貸倉庫ですが、借入金や建設協力金がある場合が多く、慎重な贈與が求められます。また、老朽化した建物等は修繕費などの負擔により、もらった人にとっては、かえって経済的には持ち出しが多くなることも考えられますので、修繕してから贈與するなどの考慮が必要です。

評価が下がっているものを贈與する

現金に比べると、建物やゴルフ會員権などの評価額は実際の取引価格よりも低くなっています。例えば、建物の相続稅評価額は、國稅庁の定める評価方法によると、固定資産稅評価額(建築価額の約60%程度)で評価することができます。なお、賃貸している場合は借家権割合を控除することになっており、借家権割合は全國一律30%となっています。新築の貸家の場合には、その相続稅評価額は投資金額の40~50%程度と大幅に下落します。
相続時精算課稅制度により贈與する場合には、このように評価が下がっているものを贈與するとよいでしょう。相続時に精算されることを想定すると、この収益物件の贈與は相続時精算課稅制度を選択する場合の切り札ともいえます。現金と比較して非常に低い評価であり、毎年安定した収益が入ってきますので、デフレやインフレによる將來のリスクにも備えることができます。

居住用財産の譲渡特例を活用するための贈與

親又は祖父母が所有している子や孫の自宅の敷地を売卻した場合、親又は祖父母にとっては居住用財産に該當せず、居住用財産の譲渡所得の特例等は使えませんので、譲渡益がある場合には稅金を払わなくてはなりません。このようなことが將來想定できるケースでは、親又は祖父母から自宅の敷地を贈與してもらえば、子や孫にとっては土地も家屋もどちらも居住用となるので、3000萬円の特別控除や軽減稅率をしっかりと活用できることになり、売卻に対する稅金は減少することになります。
相続稅のかからない家族ならば、相続という後顧の憂いもなく、適切な方法といえるでしょう。

相続時精算課稅制度の選択は慎重に

贈與された財産について「相続時精算課稅制度」を選択しますと、相続発生まで財産の評価額が一定だと仮定した場合、令和6年以後の贈與から控除できる基礎控除額110萬円部分を除き、贈與で取得しても相続で取得しても負擔すべき稅額は一緒です。しかし、贈與するものや贈與の時期、相続の発生時期によって、贈與財産の贈與時の評価額と相続時の評価額は大きく変動します。
相続時精算課稅制度は値上がりするものの贈與や、相続稅の申告の時に持ち戻す必要がない基礎控除部分の贈與については、暦年課稅に比較すると有利です。しかし、相続稅の稅率より低い贈與稅率の範囲で生前贈與加算期間の7年を超えて長期にわたり贈與を繰り返す、または相続時に持ち戻しのない相手に贈與するなら、暦年課稅のほうが有利です。相続稅のかかる方は暦年課稅か相続時精算課稅を選択するのか、慎重に検討する必要があります。

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