従業(yè)員の満足度、ロイヤリティの高さが企業(yè)の生産性に大きく影響することは、以前のコラム（No.31）で紹介したとおりですが、これがCRE戦略とどのように結(jié)びつくのかを考えてみましょう。

知的ビジネスでは、中小企業(yè)も大企業(yè)並みに生産性は高い

こちらのグラフは、働く人たちの知的生産性の高さが業(yè)績(jī)に反映されやすいとされる、非製造業(yè)における大企業(yè)と中小企業(yè)の労働生産性の比較です。やはり、どの業(yè)種においても、大企業(yè)の労働生産性が中小企業(yè)に対して上回っています。
特に、運(yùn)輸、不動(dòng)産、インフラ事業(yè)、金融業(yè)界においては顕著です。設(shè)備の規(guī)模や數(shù)の優(yōu)位性が出やすい業(yè)種と言えるかもしれません。しかし、學(xué)術(shù)研究?専門(mén)技術(shù)サービス業(yè)や非製造業(yè)といった、情報(bào)や知識(shí)などのリソースが仕事のクオリティに直結(jié)するような業(yè)種においては、中小企業(yè)と大企業(yè)の間での大きな差はありません。つまり、より知的生産性が必要とされる業(yè)種であるとも言えるでしょう。
極端かもしれませんが、知識(shí)産業(yè)?情報(bào)産業(yè)などにおいては、大企業(yè)を上回る生産性を上げることも可能だと言えます。

非製造業(yè)における労働生産性の平均値（業(yè)種?規(guī)模別）

平成27年度中小企業(yè)白書(shū)「中小企業(yè)の生産性分析」（経済産業(yè)省）より

現(xiàn)在、國(guó)を挙げて「働き方改革」を率先していますが、「労働時(shí)間短縮」と「経済成長(zhǎng)」を同時(shí)に果たすには、生産性を飛躍的に向上させるしかありません。
生産性を左右する要素については、ICTをはじめとした設(shè)備や従業(yè)員の能力開(kāi)発、働く環(huán)境（ワークプレイスや制度、福利厚生など）の整備、また將來(lái)を見(jiàn)據(jù)えた投資など、様々なものがありますが、ここでは、CREと密接に関連する、ワークプレイス環(huán)境について考えてみたいと思います。

日本の企業(yè)が保有する不動(dòng)産（CRE）は、生産工場(chǎng)や配送センターなどの活用を除けば、多くの企業(yè)において事務(wù)所や作業(yè)所など、いわゆるワークプレイスとして活用されています。
ワークプレイスや作業(yè)所は、企業(yè)活動(dòng)を行うにあたって非常に重要なものです。立地條件によって採(cǎi)用條件や人材も変わりますし、ハード、ソフトともに快適なオフィス環(huán)境は、社員の満足度やモチベーションにも変化が生まれるはずです。

能力の高い人や自分自身に自信を持っている人は、十分な成果を出せる環(huán)境を選ぶでしょうし、自分の能力はこの環(huán)境では活かせないと判斷すれば、その環(huán)境、つまりその會(huì)社を選ぶことはありません。労働環(huán)境に力を入れるということは、優(yōu)秀な人材を確保するという意味でも非常に大切なことです。
さらに、こうした?jī)?yōu)秀な人材の確保は、その人の持つ影響力によって、いわゆる「人が人を呼ぶ」?fàn)顟B(tài)となり、近い能力を持つ人材の採(cǎi)用にもつながります。人材の獲得に関して良いサイクルが生まれやすくなるでしょう。 そういった観點(diǎn)で考えれば、優(yōu)れたオフィスワーカーは、優(yōu)れたオフィス環(huán)境を求めています。自分自身のアウトプットが最大限になるようなオフィス環(huán)境を求めるのは、至極當(dāng)然のことだとも言えるでしょう。

従業(yè)員の立場(chǎng)から見(jiàn)れば、オフィス環(huán)境の良し悪しは、その企業(yè)の従業(yè)員に対するロイヤリティ（いかに従業(yè)員を大切に思っているか）の反映だとも言えます。
中小企業(yè)であれば、特にこの傾向は顕著ではないでしょうか。今でも、中小企業(yè)において、非常にユニークでクオリティの高いオフィス環(huán)境を用意し、すばらしい人材を確保し続ける企業(yè)も多數(shù)あります。

恵まれない中小企業(yè)向けのオフィス

近年、特に東京地區(qū)において、大規(guī)模のオフィス建築が活況となっており、比較的築年數(shù)の淺い、いわゆる先進(jìn)設(shè)備を保有したオフィスビルが非常に多くなっています。
しかし、多くの中小企業(yè)がそのユーザーである中小規(guī)模のオフィスビルに関しては、築20年以上のものが大半を占め、中小規(guī)模のオフィスビルに関しては、古いビルの改修や環(huán)境整備が急がれる狀況となっています。
特にバブル終焉期に建てられたオフィスビルが大量に存在しており、5000坪以下のオフィスビルは、築20年以內(nèi)のビルに対して約4倍存在しているとも言われています。

そうした、築20年以上も経つようなビルは、現(xiàn)在のビジネススタイルにそぐわない環(huán)境のものも多く、生産性の向上にマイナスとなるような狀況が多數(shù)存在しています。
たとえば、

• ?部門(mén)間で交流することのないオフィスレイアウト
• ?溫度や濕度が不快で集中力がもたない
• ?照明のクオリティが低い
• ?情報(bào)整理（ICT設(shè)備）の環(huán)境がない
• ?外出中は、社內(nèi)のデータベースにアクセスできない
• ?部門(mén)の壁によって他からの情報(bào)が入らない
• ?ミーティングやブレストのスペースもない

こうした狀況を改善し、優(yōu)れた人材が優(yōu)れた成果を出す環(huán)境を準(zhǔn)備することは、中小企業(yè)の経営陣にとっては急務(wù)だと言えます。しかし、紹介したように、築淺ビルはますます減少していきます。
CREを保有する企業(yè)は、「働き方改革」の観點(diǎn)はもちろん、現(xiàn)在の社員の知的生産性、將來(lái)の人材確保という観點(diǎn)からも、「ワークプレイス環(huán)境」を今一度再検討する必要性があるのではないでしょうか。