暮らしにいいものを探して vol.22昭和の型板ガラスを
繊細(xì)な柄を生かした皿に

神戸?長(zhǎng)田で三代続くガラス店。
殘っていた型板ガラスの美しさに
惹かれて

かつて建具として和室や部屋の間仕切りに使われていた昭和型板ガラス。片面に柄を施し、光を取り入れながらも視線(xiàn)を遮るためにつくられたもので、昭和40年頃に広まり、製造會(huì)社からは毎年新しい柄が登場(chǎng)していたそう。その後ライフスタイルの変化などから需要が落ち、たくさんあった柄も次々と廃番となり製造されなくなりました。

「うちの親父が昭和型板ガラスを大量に殘していたんです。震災(zāi)でも割れず殘った。それを捨ててしまうのはもったいない、何かに生かしたいと思ってたんです」と旭屋ガラス店の代表?古舘嘉一（こやかた よしかず）さん。

工房に置かれた大きさもさまざまな昭和型板ガラス。當(dāng)時(shí)は破損時(shí)の張り替え用にストックしていたという。

昭和型板ガラスは、つるりとしたガラス面と柄が入った面があるのが特徴。それぞれに名前がつけられ、上はぐるぐると曲線(xiàn)が描かれた「サーキット」、下は大膽な曲線(xiàn)がユニークな「わかば」。

2002年に脫サラして家業(yè)を継いだ古舘さんは、新しい分野に挑戦しようとステンドグラスの修業(yè)を積み、技術(shù)を會(huì)得。殘された昭和型板ガラスでランプシェードをつくることを思い立ちます。その後、熱を加えれば皿にできると思いつき、試行錯(cuò)誤の末に商品化。それがコロナ禍に人々の目にとまり、一躍人気商品となりました。

「小物なんかもいろいろつくってはみたんです。でも究極はお皿とランプシェード。生活で一番使ってもらいやすいものやなって感じたんです」

そして昭和型板ガラスの魅力はなんといっても70種類(lèi)ほどもあるという多様な柄。「海外だとテクスチャーの種類(lèi)はあっても、ここまで多様な柄はほぼない。自然や草花などモチーフもバラエティー豊かで日本獨(dú)特のデザインだと思いますね。だから自分でつくりながら、『わあ、きれいやな』と、たえずそう思いながらつくってます（笑）」

獨(dú)自に生み出した技術(shù)で
昭和型板ガラスを繊細(xì)な皿に

繊細(xì)な柄を生かすため、どうしても皿にしたかったという古舘さん。成型のために熱を加えると、肝心の柄が溶けてしまうという難題を、こまめな溫度調(diào)節(jié)をすることでクリア。実験を重ねながら、皿狀になり、縁の切り口も溶けてテカリが出て、かつ、きちんと柄が殘る溫度域を見(jiàn)つけ出しました。

専用カッターでガラスを切り抜く。

円形にカット。縁に研磨をかけて整えてから熱を加える。

使うのはガラス工蕓用の電気窯。素?zé)啢违猢`ルド（型）の上に載せ、少しずつ溫度を上げながら熱を加えた後、自然冷卻する。微妙な溫度調(diào)節(jié)が必要だそう。

完成した皿は3サイズ。丸皿2mm厚?大2,750円、中2,200円、小1,650円、丸皿4mm厚?大3,300円、中2,750円、小2,200円。ほかに4mm厚の四角皿や三角皿、6mm厚の大皿なども。

ミニギャラリー

柄で楽しむ昭和型板ガラスの作品

厚み2mmの皿の方が柄が多いのだそう。「こんなにあるとは僕もそれまで知らなかったんです。それぞれに名前がついているところもユニークでしょ。名前のつけ方もデザインもほんとに自由。昭和って豊かな時(shí)代やってんなと思います」

葉の重なりを?qū)懁啡·盲俊袱筏菠辍埂！袱长雾暏伪霞夹g(shù)的にもすごく優(yōu)れていると思いますね」

上から「こずえ」と「ほなみ」。抽象的な柄は皿になってもしっくりとなじむ。

上から「スイトピー」と「まつば」。スイトピーは人気の柄の一つ。

上から「浮草」と「つばめ」。大膽なデザインも、レトロ感があって楽しい。

柄を組み合わせたランプシェード。天井に映る影の具合まで考えるなど細(xì)かい工夫を凝らすという。寫(xiě)真は「バラ」を使ったランプシェード。

海外輸入ガラス「フローラ」を使ったランプシェードも。

少し曲げを入れた形がかわいらしいランプシェード。使っているのは一番人気の「銀河」。

※ペンダントランプはいずれも受注制作、16,500円～。

今後増やしていきたいというパネル。寫(xiě)真は受注制作で手掛けた玄関用パネル。「お客さんに好きな柄を選んでもらって組み合わせてつくります。思い入れが生まれていいですよね」

昭和型板ガラスはすでに製造されていないため、ストックのほか、廃業(yè)する同業(yè)者から譲り受けたり、解體される家屋で引き取ったりするなどして確保しています。「東京にも山口にも引き取りに行きました。でも次々と古い家が解體されて捨てられているので、生かせるようにもっと考えていかなあかんなと思ってます」

最近では、令和6年能登半島地震で被災(zāi)した家屋で、解體時(shí)に廃棄処分となる昭和型板ガラスを引き取り、復(fù)興事業(yè)として役立たせるため検討予定だそう。

「ちょうど昭和レトロがはやって、アップサイクルという価値観も浸透してきた。今こそ昭和型板ガラスを使うべきやと思うんです。捨てられるものがこんだけ魅力的になるってことだから。しかも日本にしかない。それをいかに伝えて、わかってもらって、使ってもらえるかと考えますね」