家事シェアハウス
體験イベントレポート 特別編

2010年代、世間は「家事分擔(dān)問(wèn)題」で大議論

大和ハウス工業(yè)社員として、実際に子育てをしながら働く母たちの間から生まれたプロジェクト「家事シェアハウス」。その背景には、2005年の育児?介護(hù)休業(yè)法施行や2014年の女性活躍推進(jìn)法施行など、社會(huì)的な潮流があります。

女性活躍という言葉が広く使われるようになったいまでも、家庭內(nèi)の家事労働の負(fù)擔(dān)率は決して平等とはいえず、特に2010年代の日本では、夫婦間の家事分擔(dān)問(wèn)題があれこれと取りざたされてはSNSで大議論が起こる????なんてことを繰り返してきました。賛否はありますがイクメンという言葉も普及し、家庭における男性の役割にも大きな変化が生まれた時(shí)代でした。

私自身は、1996年に娘、2005年に息子が生まれ、自分も子育てと仕事をしながら家事をこなし、言葉はよくありませんが自他共に認(rèn)める“社畜”の夫の海外赴任について歐州2カ國(guó)を家族ごと移動(dòng)し、4年前に帰國(guó)しました。でも國(guó)內(nèi)國(guó)外問(wèn)わず、色々な家、文化の中に住みながら家庭を運(yùn)営するという結(jié)婚20年の経験を通して、実はずっと何かに対して怒っていたような気がします。それは、「とにかく疲れた。どうして私だけが」それに盡きました。

家族が「手伝って」くれた後始末も結(jié)局、お母さん

「どうして私だけが」。世の多くのお母さんたちが、家事労働に対して感じていることではないでしょうか。もちろん、夫も子どもたちも、言えばやってくれる。「手伝って」くれる。でも、家事の主導(dǎo)権（？）を握るのは（握らざるを得ないのは）いつもお母さんで、指示を出すのも、不足をカバーしたり後始末したりするのも、家族に手伝ってと言った時(shí)の「えー？　なんで今？」と不満そうな反応に傷つくのも、結(jié)局お母さん。他のお宅では旦那さんやお子さんが率先して家事をしてくれるなんて恵まれた話を聞いて、「私の“夫育て”や“子育て”が下手なのかな????」と悩むのも、お母さんです。

例えば「自稱“料理男子”夫を持つ妻の本音」としてよく聞く件ですが、週末に限って突然「今日は俺が料理するよ！」と得意げに沸き立った夫が高級(jí)食材に散財(cái)し、キッチン中をしっちゃかめっちゃかにして、いかにも子どもが食べられなさそうなブフ?ブルギニオンだとかナントカのプロヴァンス風(fēng)とかの呪文料理を作り上げ、その後始末と掃除は「俺は料理したから、あとはキミお願(yuàn)いね」と妻に投げてくる。そして妻は心の中でふつふつと怒りの念をたぎらせる、という話。
それは「家事分擔(dān)」なんだろうか。ううん、きっと違う。でも、どう違うのか、自分が本當(dāng)は夫に何をしてほしくて、自分はどうありたいのか、それがわからない。だから相手に伝えられず、ただひとりでムッとして手を動(dòng)かし続ける。「感情に名前がついていない」んです。

人間の問(wèn)題は、デザインで解決できる

家事シェアハウスにお母さんたちが足を踏み入れた時(shí)、玄関で「わぁ、これウチにも欲しい！」と自然発生的に口々に歓聲が上がったのは、家族メンバー別に名前が書かれた「自分専用カタヅケロッカー」でした。コート、バッグ、靴、小物、スリッパ、手紙入れなどが家族一人分ずつ並び、そっとDMを捨てるためのゴミ箱も置いてある。本當(dāng)にただそれだけのことなのに、もしそれを家族一人一人が自分で済ませてくれたなら、リビングに物が散らかることも、物がなくなることも、散らかっていることに「気づいてしまった」お母さんが必死に拾って片付けて回ることもないのです。

自分専用カタヅケロッカー

次に通されたのは、リビングではなく洗濯機(jī)置き場(chǎng)と洗面所、お風(fēng)呂場(chǎng)などの水回りを統(tǒng)合した少し広めの「ファミリーユーティリティ」。そこには家族別に著替えの下著やタオルを分別整理しておく棚があり、脫いだものを色物と白物で分別するカゴがあり、洗剤棚と、アイロンかけなどもできるデスクスペースがありました。「部活帰りの子どもや、夏のお父さんが、ここでさっと汚れものを脫いでそのままシャワーに行ってくれたら、それだけでリビングの床もソファも汚れなくて済む！」と、お母さんたちは感動(dòng)を口にして笑い合いました。その瞬間、なんともいえぬ解放的な連帯感がお母さんたちの間に生まれたのを、その場(chǎng)にいた全員が感じたはずです。

ファミリーユーティリティ

その瞬間に私が感じたのは、以前からの持論でもある「デザインは人間の問(wèn)題を解決する」。「家事シェア動(dòng)線」をきちんと計(jì)算した空間と細(xì)部のデザインが、無(wú)理なく自然に、家族全員に「自分のことは自分でする」よう仕向けているのです（この、行動(dòng)を仕向けるデザインのことをアフォーダンスとかシグニファイアと言います）。最も散らかりやすい可能性を秘めている、日常の行動(dòng)の場(chǎng)面で使う空間（今の例で言えば、帰宅直後の物の置き場(chǎng)や、著替えの場(chǎng)）のデザインだけを押さえておけば、散らかる可能性や家事労働の負(fù)擔(dān)をとても小さくできるということです。

実は私も、帰國(guó)して自宅をリフォームするとき、家事動(dòng)線と収納にこだわった「セルフ家事シェアハウス」とでも言うべき家づくりをしました。それは、ロンドン時(shí)代に住んでいた家の大家さんが夫婦で建築デザイナーをしていて、とても合理的な収納や水回りデザインを施した家を貸してもらっていたからなんです。彼らにも子どもが2人いましたが、夫婦は幼い頃の子ども達(dá)をその家で育てながら、建築デザイナーとしてのキャリアも継続していました。まさに、家事も子育ても仕事もシェアしていた、そんな家だったんですね。家事とは「自分ごと」であり「家族ごと」であると、英國(guó)人の彼らはよく知っていたのです。

家事シェアが當(dāng)たり前になる「ネオ日本男児＆女子」がいる未來(lái)

自然と楽しく家事シェアができる家では、口論や喧嘩や「口に出せないイライラ」なんかをひょいと軽やかに飛び越えて、男だとか女だとか、大人とか子どもとか、そんなことを意識(shí)せずに「自分のことは自分でできる人間」が育ちます。それは、今後家事シェアが當(dāng)たり前になる「ネオ日本男児＆女子」の育成につながっていくのでしょうね。

でもそれって、男子女子関係なく、要は「自立した人間」ってこと。殘念ながらそうではない大人になってしまった人も、人間は成長(zhǎng)しますから、もちろんまだ伸びしろはあります。ひょっとして、高齢化社會(huì)に向けて家族用だけでなく「老夫婦お二人様用」なんてバージョンもあったらいいかもしれませんね。

冒頭の話に戻りましょう。「“名もなき家事”と言葉にしてくれたことで、モヤモヤの中身がわかった」。どの家族の間にもある「伝えきれない、言葉にならない思い」こそ、私たちが向き合うべき、家族であることの課題であり、価値なのかも。そして私たちはみな、家族でお互いに「成長(zhǎng)させてもらう」のです。

プロフィール紹介

河崎 環(huán)（かわさきたまき）

スイス、英國(guó)での暮らしを経て帰國(guó)後、Webメディア、新聞、雑誌への寄稿、テレビ?ラジオ出演も多數(shù)。政治経済から少女漫畫、デザインまで、多岐にわたる分野での記事?コラム執(zhí)筆を手がける。二児の母。

著書：「女子の生き様は顔に出る」（プレジデント社）