「開放感」は心地よい住まいに欠かせないポイントの一つ。
床面積が広くても、圧迫感があれば実際よりも狹く感じてしまいますし、
逆に限られたスペースでも、設(shè)計(jì)の力で開放感を生み出すことができるものです。
今回は、開放感を生み出す設(shè)計(jì)手法について、
ダイワハウスのトップデザイナー集団「ZIZAI DESIGN OFFICE」に所屬する上田 誠が解説します。
Profile

大和ハウス工業(yè)株式會社
ZIZAI DESIGN OFFICE
上田 誠
一級建築士、インテリアコーディネーター、インテリアプランナー、
一級エクステリアプランナー CASBEE戸建評価員
これまで一般建築の設(shè)計(jì)者として、戸建てから福祉施設(shè)、商業(yè)施設(shè)まで幅広い分野で多くの方々とのご縁をいただきました。建築を通して、皆さまのお役に立つことが私の喜びです。建築には暮らしや地域を豊かにする無限の力や可能性があると信じています。ぜひ私にお任せください。あなたの笑顔をお約束します。
開放感を生み出すコツ①「現(xiàn)し」仕上げにする

「現(xiàn)し(あらわし)」とは、通常なら壁紙や天井板などの仕上げ材によって隠されている柱や梁などの構(gòu)造體を露出させる仕上げのこと。「現(xiàn)し仕上げ」「軀體現(xiàn)し」などと呼ばれることもあります。
現(xiàn)しにすると天井がその分高くなるので開放感が生まれ、むき出しになった構(gòu)造體が空間のアクセントになります。お客さまからはよく吹き抜けのご要望をいただきますが、「一緒に現(xiàn)しも取り入れて、さらに開放的な空間を作りませんか?」とおすすめすることが多いです。

現(xiàn)しは天井だけに限りません。上の寫真は住宅ではなく店舗において、鉄骨の軀體を見せた現(xiàn)しですが、このように壁を作らずに柱や構(gòu)造ブレースを現(xiàn)しにする手法もあります。ここに壁があるのとないのとでは、開放感がかなり変わってくるのが想像いただけると思います。
私は長年、店舗や公共施設(shè)などの一般建築の設(shè)計(jì)を手掛けてきました。一般建築は床面積が広い分、高さも確保しないと空間のバランスが悪く圧迫感につながりやすいのですが、それを軽減するための手法が現(xiàn)しでした。
一般住宅でもシームレスにつながったLDKなど、昔に比べて床面積の広い部屋が増えてきました。そのような空間に現(xiàn)しを取り入れれば縦橫のバランスがとれて、実際の床面積以上に広く感じる、開放感ある空間を作り出すことができます。いくつかの事例をご紹介しましょう。
空間のアクセント、キャットウォーク、ハンモック…。現(xiàn)しの楽しみ方
「現(xiàn)し」では見せる軀體の素材によって、部屋の雰囲気にさまざまな表情をプラスしてくれます。
木造の現(xiàn)し
こちらは木造の現(xiàn)しです。むき出しの無垢の梁が、LDKに溫かみをプラスしています。こちらの事例では梁の上にスポットライトを設(shè)置し、天井に向けて照らすことで木の溫かみのある天井面が強(qiáng)調(diào)され、より開放感が感じられます。

RC×木造の混構(gòu)造
こちらは、木造とRC造の混構(gòu)造である『Wood Residence MARE』の事例です。天井面に軀體のコンクリートをそのまま露出させた現(xiàn)しで、スタイリッシュな雰囲気をプラスします。コンクリートの現(xiàn)しが楽しめるのは、ダイワハウスの中でも『Wood Residence MARE』だけです。

鉄骨の現(xiàn)し
鉄骨を現(xiàn)しにすると、古い倉庫のようなインダストリアルな雰囲気になりますが、上の寫真のように鉄骨を白で塗裝すれば、オシャレな雰囲気になります。
現(xiàn)しにすると、本來なら隠れてしまう部分を見せる用の仕上げにするため、費(fèi)用がかかる傾向があります。しかし、それによって得られる開放感は圧倒的です。また、貓を飼っている方なら、むき出しになった梁がキャットウォークとして大活躍することでしょう。設(shè)計(jì)時(shí)に荷重の検討を行えばハンモックやブランコをつるすこともでき、楽しみが広がりますよ。

開放感を生み出すコツ②「壁を美しく殘す」
明るさや開放感を求めて「できるだけ多く窓を取りたい」と考える方は多いかもしれません。しかし、開放感を出すにはその逆の、「いかに美しく壁を殘すか」という視點(diǎn)も大切だと私は考えます。
手法1:むやみに窓を作らない
こちらは私が設(shè)計(jì)した店舗です。窓を1カ所に寄せることで、正面左手や右の側(cè)面にきれいに壁が殘っています。このように開口部と壁のメリハリを作ると、窓の抜け感がより強(qiáng)調(diào)され、建物としての美しさが、內(nèi)外から見る人に開放感をもたらします。

もし窓があちこちに點(diǎn)在して、窓→壁→窓→壁…となっていたら、開放感が生まれず、デザイン的にも美しくありません。右側(cè)の壁に小窓をつけたくなるところですが、そうしなくても計(jì)算上、必要な採光と通風(fēng)は確保できているのでむやみに窓をとる必要はありません。開放感と設(shè)計(jì)の美しさを考えると「窓は多くても2カ所にまとめる」のが私の持論です。きれいに壁面を殘すと、家具や裝飾品などを配置しやすいというメリットもあります。
手法2:黃金比?白銀比で美しく
美しく見える比率として「黃金比」「白銀比」という言葉を耳にしたことがあると思います。黃金比は1:1.618、白銀比は1:1.414の比率を指し、歴史的な建造物や美術(shù)品にも取り入れられています。
この比率は窓や壁、いずれの寸法にも利用されますが、特に美しい壁を殘すときはこれらのバランスで殘すと美しくおさまりがよくなります。

こちらは壁ではなく格子組の例になりますが、外観の伝統(tǒng)的な格子組の縦?橫比率は白銀比になっています。

手法3:掃き出し窓やドアの上に中途半端に「壁」を殘さない
こちらは『Wood Residence MARE』の事例です。掃き出し窓と左手のドアの上部に中途半端に壁が殘っていないので、窓とドアが床から天井までつながり、洗練された印象を與えます。きっちりおさまる寸法を計(jì)算し、サッシやドアをオーダーで作るため手間も費(fèi)用もかかりますが、余計(jì)なノイズを消していくと、美しく洗練された空間になります。

開放感を生み出すコツ③「內(nèi)」と「外」の境界を曖昧にする

開放感を生み出すには、建物の「內(nèi)」と「外」の境界を曖昧にして、緩やかにつなぐことも大切なポイントです。上の寫真のように室內(nèi)の天井面と屋外の軒天の素材を合わせたり、外壁の一部を室內(nèi)に取り込んだりするのもおすすめの方法です。ダイワハウスの「ZIZAI DESIGN OFFICE」でも、外壁の素材と似た石を室內(nèi)にもつなげて取り入れたり、壁に天然の無垢材をあしらったりとさまざまな手法を取り入れています。従來の設(shè)計(jì)の枠では実現(xiàn)できなかった斬新な提案に力を入れているので、ぜひお任せください。
まとめ
「開放感=窓を大きくする」と考えがちですが、それだけではありません。今回ご紹介した「現(xiàn)し」「壁を美しく殘す」「內(nèi)と外の境界を曖昧にする」といった設(shè)計(jì)の力で、たとえ広さが限られていても開放感を生み出すことは可能です。これから家を建てる方はぜひ設(shè)計(jì)士に相談してみてください。