音楽や楽器演奏が好きで、「自宅で思う存分練習がしたい」「大音量でオーディオを聴きたい」と、
住宅を建てる際に防音室の導入を検討する方もいるでしょう。
防音室というと、「遮音性能」に特化したものを想像する方が多いと思いますが、
音楽は本來響きを楽しむもの。ダイワハウスでは、楽器演奏やオーディオを心ゆくまで楽しめるよう、
豊かな音響環(huán)境を兼ね備えた快適な防音室「音の自由區(qū)」を提案しています。
「音の自由區(qū)」の開発者であり、大和ハウスで長年にわたり「住まいと音」の関係を研究してきた
玄晴夫に防音と音響へのこだわりについて話を聞きました。
Profile

住宅技術(shù)研究所 住居環(huán)境グループ 主任研究員
玄 晴夫
大學で建築音響工學を?qū)煿イ贰⒘假|(zhì)な音響を?qū)盲堡胧耸陇蛑兢筏拼蠛庭膝Ε工厝肷纭!弗畅`ナーチューン」をはじめとする住宅向けの防音や音響の開発に長年攜わっている。ヨーロッパに在住しクラシックざんまいの日々を送った経験があり、自ら楽器演奏もする無類の音楽好き。
防音室に求められるのは、決して防音性能だけではないはず

私は20年近く、大和ハウスで住まいにおける音響の研究や、住宅向け防音室の開発に攜わってきました。そんな私のもとには、これまでに、多くの音楽好きの方々から、防音室のご相談がありました。
こうしたご相談の背景には、「自由に音楽ができない」という切実な悩みがあります。例えば「自宅でトランペットを吹いたら、近所からクレームが來てしまった」「日中は仕事があるため夜しか練習ができない。でも、家族やご近所に遠慮して音を出せない」といった悩みを抱えて、私たちのもとを訪れるお客さまは少なくありません。
そうしたお客さまがまず防音室に求めるのは防音性能。近隣や家族に音が漏れないようにと遮音性を重視される傾向があります。ただし、防音性能さえあれば音楽を心から楽しめる空間になるのかというと、それは違います。
防音性重視の防音室にありがちな落とし穴
例えば、遮音性だけを高めた結(jié)果、響きが乏しい防音室をつくったとしましょう。すると、確かに周囲に音を漏らすことはありませんが、室內(nèi)では音が吸収されすぎて迫力に欠けてしまいます。その結(jié)果、音を出せはするけれど、響きのない空間で楽器を鳴らしてただ指を動かしおさらいをする…そんな味気ない體験になりかねません。音は遮斷できても、それだけでは「心を動かす音楽」にはなりにくいのです。
つまり、防音性能とは周囲に音を漏らさないための機能であり、言い換えれば「他人のための性能」ということになります。一方で、音楽を楽しむ空間に本當に必要なのは、「その部屋にいる人が、心から音楽を楽しめる音響性能」。つまり、「自分のための性能」なのです。
「響き」のある空間では、心地よい音楽體験が生まれる

では、楽器を演奏したり音楽を聴いたりする方にとって、本當に大切な性能とは何でしょうか? 防音性能はもちろん重要ですが、私たちは「音響」こそが防音室に欠かせない性能であり、真にこだわるべきものだと考えています。
豊かな響きがつくり出される空間では、音の明瞭性?迫力?空間的な広がりがぐっと高まり、奏でられる音の質(zhì)も格段に向上します。その結(jié)果、時間を忘れて演奏や鑑賞に沒頭できる感動的な音の體験が生まれるのです。
私自身、かつて訪れたウィーン楽友協(xié)會のコンサートホールで體験した圧倒的な響きはいまだに強く心に刻まれています。柱に視界を遮られステージが見えにくい席だったにもかかわらず、音はまるで目の前で奏でられているように感じられ、ホール全體が一つの楽器のように響いていました。
この體験があったからこそ、「空間そのものが楽器になるような防音室をお客さまに提供したい」という思いが生まれ、今の防音室開発の原點になっています。
多くの方が「響き」を最初から諦めている?
一方で、防音室のご相談に來られたお客さまの中には、音響面については最初から諦めている方が少なくありません。
その理由の一つが「防音室に対する一般的なイメージ」です。多くの方が思い浮かべるのは、部屋の中に後付けする小さいユニット式の防音室ではないでしょうか。こうした後付けタイプの防音室は、構(gòu)造的に響きをつくるのが難しく、狹さ故の音のこもりや反響不足がネックになります。こうした防音室に対するイメージがあるために、防音室に響きを求めるのは無理なのでは…と考えてしまう方もいるのではないでしょうか。
もう一つの理由は、どのような響きが欲しいかをお客さま自身が表現(xiàn)しづらいこと。そもそも響きとは弦楽器や管楽器、打楽器や鍵盤楽器などの楽器ごと、あるいはクラシックやロック、ジャズなどジャンルごとに求められるものが異なります。例えば、バイオリンなら音楽ホールのような響きが必要になります。一方ドラムなどには過度な響きはいらず、むしろたたいた音がシャープに聴こえることが望まれるでしょう。
また、響きの好みはとても主観的であり、「こういう響きがいい」という加減が言葉や數(shù)値ではなかなか表しにくいものです。それだけに響きについてはあまりご要望されず、「防音ができればいい」のように割り切ってしまう方が多いのではないでしょうか。
ハウスメーカーだからこそできる、
住まいと防音、響きを一體設(shè)計する「音の自由區(qū)」
防音室をつくるにあたり、「本當は響きもこだわりたいけれど、現(xiàn)実的には難しいよね…」と諦めてしまっている方々がいる。そんな現(xiàn)狀を前に、私たちがたどり著いたのが、住宅設(shè)計の段階から「広さ」と「高さ」を確保し、防音性が高く響きのある広い空間をつくるというアプローチでした。この発想から生まれたのが「奏でる家」、そして現(xiàn)在の「音の自由區(qū)」です。
「音の自由區(qū)」とは
ライフスタイルや目的に合わせて選べる3タイプの防音室を展開。ドラムの大音量やバンドセッションなどにも対応した「奏でる家+」に楽器の演奏やオーディオにうってつけの「奏でる家」、そして、仕事や勉強、テレワークなどに適した靜かな空間をつくる「やすらぐ家」の中から、お客さまの暮らしに合った防音室をお選びいただけます。
「音の自由區(qū)」の一番の特徴は、防音室を住宅と一體設(shè)計でつくれることです。防音性能に優(yōu)れたダイワハウスの建物をベースに防音ドアや防音換気扇、防音二重窓などを完備。さらに、お客さまに満足していただける響きを?qū)g現(xiàn)するために「コーナーチューン」「オーディオチューン」で音響を調(diào)整しながら防音室を仕立てていきます。
響きのある空間を設(shè)計するポイントは、広さと高さ
快適な音響環(huán)境をつくり出すためにまずポイントとなるのは、空間の広さと天井の高さです。狹い空間では音が反響しすぎて響きがきつくなりやすく、天井が低いと音がすぐに跳ね返って響きが失われてしまいます。
高い天井や広い部屋というのは、住宅を設(shè)計する初期の段階でお客さまが選択しなければ実現(xiàn)できないもの。それだけに、一體設(shè)計のもとで広くて天井の高い防音室を施工していく「音の自由區(qū)」は、まさにハウスメーカーだからこそ提供できるサービスだと考えています。
実際の建築実例では、オルガニストの方のご自宅にパイプオルガンを置きたいという希望を受けて、2階までの吹き抜けになっている部屋を設(shè)計したこともありました。

防音室ありきで住宅の間取りを考えられるメリットも
防音室を住宅に導入する際は間取りへの考慮も大切なポイントです。「防音室を?qū)嬍窑殡xしたい」「隣の家の真橫に設(shè)置するのは避けたい」のように考える方は當然いるでしょう。また、楽器を保管する場所でもある以上、直射日光が楽器に當たらないようにしたい、濕気から楽器を守りたい…といった希望も出てくるはずです。
その點、建物と一體設(shè)計である「音の自由區(qū)」は、住まいづくりをしながらお客さまが防音室ありきでゼロから好きなように間取りを考えていけるのも利點の一つです。寢室など靜かにしたい部屋の隣に防音室を配置しないようにしたり、直射日光が楽器に當たらないよう窓の位置を工夫したりと住宅の音響にこだわるハウスメーカーならではのきめ細かい配慮を心がけています。
バランスの良い音響を?qū)g現(xiàn)する、大和ハウス獨自開発のアイテム
そして、住宅でより良い響きを?qū)g現(xiàn)させるため、大和ハウスでは獨自の音響アイテム「コーナーチューン」「オーディオチューン」を開発しました。
コーナーチューン

部屋の角(コーナー)に設(shè)置して響きをコントロールできる吸音材。音は部屋の隅にたまりやすい性質(zhì)があるため、部屋の角に設(shè)置することで音を吸収し、高音から低音までバランスのいい音響をつくり出せるアイテム。「音を響かせたい」場合は設(shè)置數(shù)を少なく、逆に「音の輪郭をよりクリアにしたい」場合は數(shù)を増やして、響きをコントロールすることが可能。
コーナーチューンによる響きの違い
オーディオチューン

吸音材を內(nèi)蔵した二重構(gòu)造の吸音壁。スピーカーの配置や実際に鑑賞する場所などに合わせて壁に設(shè)置することで反響音をコントロールし臨場感あふれるクリアな響きを?qū)g現(xiàn)。
一人ひとりのこだわりに合わせた音響調(diào)整も
コーナーチューンをはじめ各音響アイテムの配置については、空間の広さ、演奏したり流したりするジャンルなどに応じた基準をダイワハウスでも示しているとともに、お客さま一人ひとりのこだわりに合わせた調(diào)整ももちろん可能です。
実際以前には、お客さまのお住まいが完成した後に、防音室の調(diào)整を行うこともありました。ドラム演奏をされるお客さまが入居し、実際に演奏してみると「シンバルの音が響きすぎる」とのご注文を受け、改めてお客さまにヒアリングを行い、壁掛けの吸音材を新たに設(shè)置することで音響のチューニングをしました。このように、細かい要望にもできるかぎり応じて音響環(huán)境の整備をさせていただいています。

また、大和ハウス総合技術(shù)研究所にある音響調(diào)整ブースでは、実際にお客さまご自身に演奏していただきながら、お客さまの楽器に最適な響きを細かく調(diào)整することもできます。
家族が音楽でつながり、
「共に奏でる人生」が生まれる場所に

防音室の使い方は人によってさまざま。練習に勵みたい方だけでなく録音をしたい方、中にはご自宅でコンサートを開きたい、という方もいるでしょう。最近ではYouTubeやSNSでの発信用に防音設(shè)備のある部屋をつくりたいというご相談も増えてきました。「音の自由區(qū)」では多様なお客さまのニーズに対応して、響きや広さ、明るさなども含めて希望に沿った防音室を設(shè)計できるよう注力しています。
これまでにご利用いただいた方々からは、「自宅の練習室なのに、今まで借りていたスタジオよりはるかに音響がいい」「小さなコンサートホールのような美しい響き」といったご感想をいただきました。「以前は演奏するために電車でスタジオまで通っていたのが、今は寢る前でも思い立ったら演奏ができて、日常と音楽のある非日常が両立できて楽しい」と喜んでくださった方もおり、これを聞いたときは本當にうれしく思いました。
ダイワハウスの防音室設(shè)計が目指すコンセプトの一つ、それは「家族が音楽で一つになる」です。「音の自由區(qū)」を?qū)毪筏皮捶驄Dで演奏をしていたら、自然とお子さまも楽器に興味を持つようになり家族みんなで演奏するようになった…という方々を何組も見てきました。私たちが提供する空間でご家族が共に音楽を奏でる人生となっていくのは、本當に幸せなことだと感じています。
音楽というのは元來楽しむものであり、何より演奏や鑑賞を愛する方々が心ゆくまで人生を謳歌するためにあるべきものです。大和ハウスが提案する美しい音が響く防音室で、幸せなひとときを過ごせる方々が増えることを願っています。
ダイワハウスの防音室をご導入いただいた方のインタビュー
ぜひ音聲ありで防音室の響きをご體感ください。
空間が一つの楽器になる體験を、あなたの暮らしにも
「音の自由區(qū)」開発者の思いをお屆けしました。日々の暮らしの中で、良質(zhì)な音楽が生み出す感動を味わっていただけるよう、大和ハウスが「響き」にこだわって設(shè)計する住宅一體型防音室。ご自宅で自由に演奏して音楽の響きも楽しみたい…という思いがある方はぜひ楽器を持って展示場を訪ね、心地よい音響空間を演奏しながら體感してみてください。
※掲載の情報は2025年7月現(xiàn)在のものです。