ロイヤルシティ佐田岬リゾートが広がる愛媛県伊方町(いかたちょう)。急峻な段々畑で育てられる柑橘類はバラエティに富み、宇和海と瀬戸內(nèi)海に挾まれる地形から新鮮な魚介類にも恵まれ、近年、そうした食材が、町の『ふるさと納稅返禮品』として高い人気を誇っています。これらの返禮品と人気を分かつのが、現(xiàn)代の料理やインテリアに馴染む「妙楽窯」の焼き物セットです。作者は佐々木智也さん。実家は、1604年(慶長9年)創(chuàng)建の『妙楽寺』で、佐々木さんは陶蕓家で僧侶でもあります。
妙楽寺は檀家を持たず、厄払いや本願成就を祈る「祈禱寺」。代々副業(yè)を持ちながら、寺が守られています。ものづくりを仕事にすると決めていた佐々木さんは、大學(xué)の教育學(xué)部で美術(shù)を?qū)煿ァ啢铯怯忻蕫坻卤h砥部町で就職先を探していたところ、砥部焼の後継者育成事業(yè)『えひめ陶蕓塾』を知り、大學(xué)を休學(xué)して入塾。焼き物を一から教わり、その後も地元の陶蕓家に弟子入りし修行を続けました。「入塾した當(dāng)初は、変わった色や形の器をつくっていましたが、師匠で陶蕓家の石田誠さんが、ご自分で焼かれたシンプルな皿に自分でつくった料理を盛り付けて食べられているのを見て、『器に料理をよそう、食卓に並べる、食べる』という當(dāng)たり前のことこそ、器づくりには大事だなと考えが変わりました」。

伝統(tǒng)を守りつつ、時代に合った器をつくりたい

『日常づかいしたくなる器』を模索する日々が続き、「獨立後も1、2年は仕事にならなかった」と、佐々木さんは振り返ります。試行錯誤の末、ようやく思い描く器が焼けるようになった頃、佐々木さんの器は注目されるようになりました。土は白さが美しい砥部のものの他に、愛知の常滑から仕入れた土を使用。ロクロを回し、半乾きになるまで寢かせた後、手づくりの型に添わせてかたどっていきます。伝統(tǒng)的な模様の輪花皿や角皿、そば豬口、深皿など、ひとつのテーブルに並べても主張しすぎない見た目の心地よさと料理や果物、時には花など、盛られるものを引き立てる脇役の佇まいを感じる器の數(shù)々。湯呑み茶碗の厚みも絶妙で、快い口當(dāng)たりです。「今も日々改良を重ねながら、自分が使いたいと思う器を目指しています。それが『いいね』と思われるのは、やはりうれしいですね。住まいも、食事の內(nèi)容も、昔と比べるとずいぶん変わっています。焼き物の伝統(tǒng)を大事にしながら、今の人の生活に受け入れられる器をつくり続けたいです」。そう語る佐々木さんの作品は、伊方町の『道の駅伊方きらら館』のほか、四國內(nèi)で行われるイベントなどで販売中です。

器からピザ窯まで。ものづくりへの消えない情熱

焼き物の技術(shù)と元來のものづくり好き、おいしいもの好きが高じて、ピザ窯づくりにも著手した佐々木さん。窯の內(nèi)側(cè)は素?zé)啢瓮痢㈤_口部には本焼きした砥部焼が使われています。1枚ずつ焼けるコンパクトなサイズ感と、かまくらにも似たチャーミングなフォルムが注目され、佐田岬リゾートのオーナーさまからも発注があるそうです。「伊方町で暮らしていると、不便に思うところは確かにあります。その代わりに、こうして好きなことができるのは田舎ならではの良さ。都會ではできない生活ができていると思っています」。

「なんでも、自分でつくってみると、いろいろと勉強になります」。作陶や僧侶の仕事の傍ら、倉庫をシアタールームにリノベーションしたり、離れをリフォームしたりと、創(chuàng)作意欲が衰えない佐々木さん。衝動にも似た、ものづくりへの熱意がほとばしっています