鹿角街道有數(shù)の宿場(chǎng)町だった秋田県鹿角市花輪。金、銅を産出する尾去沢鉱山を有し、米どころでもあったという。そうした歴史の面影を見(jiàn)せてくれるのが、造り酒屋だった舊関善酒店である。

関善酒店の創(chuàng)業(yè)は、安政3年（1856）。「大き方（おっきかた）」と呼ばれる、町を取り仕切る資産家であった。明治38年（1905）5月の花輪大火によって類焼したが、その年の酒造りに間に合うように再建された。それが現(xiàn)在の建物である。

主屋は、町家づくりの商家建築。正面に「こみせ」（木造のアーケード）を設(shè)けている。このような建物の間口はふつう3間半だが、ここは13間半。それだけでも驚きだが、中に足を踏み入れると、さらに驚かされる。

そこには、外観からは想像もつかない大空間が広がっていた。ケヤキがふんだんに使われ、重厚感が漂う。吹き抜けの通り土間の上に広がる、木造の小屋組みには圧倒されるばかりだ。豪商ならではの造りが、建物の隨所に見(jiàn)て取れた。

ここで家族や蔵人が寢起きし、立ち働き、酒を醸したのか……。そんなことを、ふと考える。人々の息づかいが、今も聞こえてくるような気がした。

rakra2009年5.6月號(hào)掲載

2009年4月頃撮影