梅雨の晴れ間の蔵王を歩く
- 更新日:2010年09月01日
- カテゴリ:自然観察
梅雨の晴れ間の蔵王を歩く
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■新緑のエコーライン ■蔵王のシンボル「お釜」
梅雨の中休みの爽やかな2日間、ロイヤルシティ宮城蔵王リゾートの散策を楽しみました。リビングサロンの元スタッフで植物好きの方を誘って、まずはⅡ期のエコーラインの南側(cè)にある『もみじ平』へ。ここは今まで歩く機(jī)會(huì)がなかったので、どんな所だろうと歩き始めると、林に中でサイハイランやアカショウマが咲いていました。モミジイチゴは黃色い実をつけています。
■左:サイハイラン(采配蘭)ラン科サイハイラン屬
北海道から九州の山野の林に生育する多年草。5~6月、淡紅褐色の細(xì)長(zhǎng)い花を10~20個(gè)、花莖の一方に片寄ってつける。葉はほとんどが1枚。開花後花が垂れ下がる姿が采配(武將が戦場(chǎng)で指揮をとる際に振ったもの)に似ていることからついた名。
■中:アカショウマ(赤升麻)ユキノシタ科チダケサシ屬
本州から九州の明るい林內(nèi)や草地に生育する多年草。6~7月、白色で5弁の小さな花を穂狀につけ円錐形をなす。葉は葉柄が3つに分かれ、更に3つに分かれる(3回3出葉)。葉の付け根や節(jié)が赤味を帯び褐色の毛があるのが特徴で名前の赤はここから。漢方の升麻(サラシナショウマの根)に似ていることからついた名。
■右:モミジイチゴ(紅葉苺)バラ科キイチゴ屬
本州中部以北の山野の林縁に生育する落葉低木。キイチゴの代表選手。3~5月に白い花を下向きにつける。果実は6月頃黃色く熟し、甘くておいしい。葉は5裂する物が多く、モミジの葉に似ていることからついた名。
続いてエコーラインの北側(cè)へ移動(dòng)し、途中で薪割りをしていたオーナーさんとおしゃべりを楽しんで、情報(bào)をいただいたあと『あかまつ平』から『みずき平』へと進(jìn)むと、道一面にブナの実が落ちているのをみつけました。見上げると太いブナの樹が1本。自然度が一番高いⅡ期にはブナが何本かありますが、その中でも太い樹です。リョウブの花はそろそろ終わりを迎えていましたが、オニノヤガラは咲き始めたところ。薄暗い樹々の下ですくっと立ち上がる姿はまさに矢のようです。

■左:ブナ(撫、椈、山毛欅)の果実 別名シロブナ、ソバグリ ブナ科ブナ屬
北海道から九州の山地に生育する落葉高木。日本の溫帯落葉樹木の代表樹木。5月頃に新枝の上部に雌花、下部に雄花をつける。10月頃、刺に包まれた殻が熟すと4つに割れて、三角錘に近い形の果実が2つ顔を出す。動(dòng)物達(dá)の好物。名は材として使えないのでぶん投げるから、ブナの林をわたる風(fēng)が、「ブーン」となるので「ブンナリノキ」と呼ばれたからなどの説がある。
■中:リョウブ(令法)リョウブ科リョウブ屬
北海道南部から九州の丘陵や山地の尾根などに生育する落葉高木。6~8月に小さな白い葉を10~20cmの穂狀につける。甘い香りがあるので蟲をよく集める。幹はナツツバキの肌に似て樹皮がはがれ落ちる。若葉が食用になり、救荒植物として官令によって栽培されたことから名がついたといわれる。寫真は開花後。
■右:オニノヤガラ(鬼の矢柄)ラン科オニノヤガラ屬
北海道から九州の山地の林內(nèi)に生育する腐生殖物。葉緑素を持たずナラタケと共生する。6~7月、高さ50~100cmの花莖に黃褐色の壺狀の花をつける。鱗片狀の葉も花莖にまばらにつく。名前はまっすぐに伸びた花莖を矢の柄にたとえ、長(zhǎng)いことから鬼の矢とついた。
次はⅢ期を歩くことにしました。全體的に明るい印象のⅢ期は、ゆっくり歩いたことがなかったので、植物寫真をたくさん撮っていらっしゃるオーナーさんに案內(nèi)していただき、林床に咲くクモキリソウとウメガサソウなどを見ることができました。ツチアケビはまだ開花し始めたところ。今はアケビというより別名の『山の神の錫杖』という雰囲気です。林の中で何本も立っている姿は、ムーミンに出てくるニョロニョロのようにも見えます。この目立たないラン科獨(dú)特の花が終わったあとの、ウィンナーソーセージのような実を下げた姿も見てみたいです。もう1ヶ所のウメガサソウが咲く場(chǎng)所近くでは、ハナイカダが葉の上にまだ緑色の小さな実をちょこんと乗せていました。

■左:クモキリソウ(雲(yún)切草)ラン科クモキリソウ屬
日本全土の比較的標(biāo)高の高い林內(nèi)に生育する多年草。6~8月、2枚の葉の間から伸びた花莖に淡緑色または黒褐色の花を5~15個(gè)つける。側(cè)花弁や萼片は細(xì)い筒狀、唇弁は少し幅広く下方に巻き込む。花の形が蜘蛛に似ているので蜘蛛を散らしたような様から蜘蛛散草の字をあてるという説もある。
■右:ウメガサソウ(梅笠草)イチヤクソウ科ウメガサソウ屬
北海道から九州の山地や丘陵の下草の少ない林などに生育する常緑多年草。6~7月、5裂した白い花を莖頂に1~2個(gè)下向きにつける。花は熟すと上を向く。丸い5弁の花弁と下向きの姿からついた名。寫真はまだつぼみ。

■左:ツチアケビ(土木通)別名ヤマノカミノシャクジョウ ラン科ツチアケビ屬
北海道から九州の山地林內(nèi)や笹藪などに生育する腐生殖物。葉緑素を持たずナラタケと共生する。莖は黃褐色で50~100cmに伸び枝分かれし、6~7月に黃褐色でラン獨(dú)特の形をした花をつける。葉は退化し鱗片狀。秋に紅色のウィンナーソーセージのような形の果実をつける。この果実がアケビの果実に似ていることからついた名。
■右:ハナイカダ(花筏)ミズキ科ハナイカダ屬
北海道から九州の濕り気のある林內(nèi)に生育する落葉低木。雌雄異株。5~6月、葉の中央付近に黃緑色の花をつけるのが特徴。雄花は3~5個(gè)、雌花は1個(gè)ずつつく。果実は8~10月に黒く熟す。花が葉の上に乗った姿を筏にたとえた名。
今回は、時(shí)々訪れるだけで、しかも足早で歩き回る私一人では、見逃してしまいそうな植物をたくさん教えていただきました。2日目の朝食前は、いつも通りロイヤルホテルに隣接するⅠ期を散策。ヤマボウシが空に向って広げている白い花(正確には花弁に見えるのは苞です)に朝日が當(dāng)りきれいです。
顔見知りのオーナーさんに誘われて、庭のヤマブドウの棚にたくさん下がった房を拝見したあと、以前から気になっていた樹へ向いました。見上げると大きい葉の上に白い小さな花が泡立つように咲いています。中國(guó)では泡吹木と呼ばれているアワブキです。和名は枝を焼くと泡が吹き出ることからついたそうですが、この時(shí)期にみると花の印象からついたのではないかと思ってしまいます。もう1本気になるメグスリノキの雌木を見に行くと、今年も実をつけていました。まだ緑色ですが、カエデの仲間の中では大きな実です。

■左:ヤマボウシ(山法師、山帽子)別名ヤマグワ ミズキ科ミズキ屬
北海道から九州の山野に生育する落葉高木。6~7月白い4弁の苞の中心に黃緑色の小さな花の固まりをつける。9月頃に赤く熟す果実は食べられる。橫枝を水平に広げる樹形と紅葉も美しいことから庭木や街路樹としても用いられる。花を僧兵の頭、苞を頭巾に見たてつけられた名。
■中:アワブキ(泡吹)アワブキ科アワブキ屬
本州から九州の雑木林や山地に生育する落葉高木。6~7月、淡黃白色の小さな花を円錐狀につけ、遠(yuǎn)くからは泡狀に見える。果実は5mmほどの球形で赤く熟す。葉は薄く、8~25cmと大きい。生木を燃やすと切り口から泡をたくさん出すことからついた名。中國(guó)名は花の姿から多花泡花樹。
■右:メグスリノキ(目薬の木)の果実 別名チョウジャノキ カエデ科カエデ屬
本州(宮城、山形以南)から九州の山地に生育する落葉高木。雌雄異株。5月に淡黃色の花をつける。翼のある果実が2個(gè)ずつつき熟すと分かれる。葉の裏に軟毛のある3枚の葉がセットになる。ピンク色に紅葉するので紅葉時(shí)はわかりやすい。樹皮や葉を煎じて洗眼に用いたことからついた名。
そろそろホテルに戻ろうと歩いていたら、向こうからオーナーさんと愛犬が。散歩の時(shí)間と散策の時(shí)間が何回も一緒になったことがあるので、「久し振りだね」と話が弾みました。わんちゃんも覚えていてくれたようで、大歓迎!私の足に大きな身體を寄せておしゃべりを聞いていました。ホテルのすぐ橫の林縁ではウグイスカグラが赤い実を葉の影から顔をのぞかせていました。おいしそうな実には細(xì)かい毛があるのでミヤマウグイスカグラです。

■ミヤマウグイスカグラ(深山鶯神楽)スイカズラ科スイカズラ屬
本州から九州の山地から深山の林縁などに生育する落葉低木。4~5月、淡紅色をした漏斗狀の花を1~2個(gè)下向きにつける。果実は6月に赤く熟す。よく似るウグイスカグラには葉の表面や果実に毛がない。名前は花や果実を鶯がついばむ姿が神楽を踴っているように見えるのでついたという説や、小鳥を捕らえる場(chǎng)所『狩り座』が訛ったという説がある。
■ヤマグワ(山桑)別名クワ クワ科クワ屬
北海道から九州の低い山地に生育する落葉低木~高木。雌雄別株まれに同株。4~5月、花弁のない花をつける。果実は熟すと赤色から黒紫色になる。長(zhǎng)い雌しべが殘る。よく似たマグワは雌しべが短い。葉は切れ込みのないものから3~4裂するものまである。名は蠶が葉を食べるので『蠶葉』、『食う葉』が訛ったという説がある。
■ニワトコ(庭常、接骨木)別名セッコツボク スイカズラ科ニワトコ屬
北海道から九州の山野林縁に生育する落葉低木から小高木。3~5月に淡黃白色の小さな花が多數(shù)泡立つようにつく。6~8月、果実が暗赤色に熟す。葉は小葉が奇數(shù)まとまってつく。枝や幹を煎じて骨折の濕布として用いたので別名がついたと言われ、薬として常に庭に植えてあったことから名前がついたという説がある。
食後はもう一度Ⅲ期へ。日當(dāng)たりが良い所が多いので、ヤマグワがたくさんの実をつけています。そろそろ食べ頃の実もあり、おいしそうです。ニワトコも小さな赤い実をたくさんつけていました。
お天気は快晴で、ちょっと暑く感じますが、爽やかなので木陰に入ると気持ちが良く、関西の蒸し暑さを思い浮かべると、いつまでも滯在していたくなりました。次は林が錦に染まる紅葉の時(shí)期に訪れたいです。
※上記寫真は平成22年7月撮影






